日本糖尿病協会

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インスリン製剤とシタグリプチン併用による有用性の検討 -前向き観察研究-  (I-UNITE Study)

Last Update:2019年4月1日

国際糖尿病連合(IDF)がまとめた調査によりますと、2012年の世界の20~79歳の糖尿病患者数は3億7100万人にも及び、そのうち日本の糖尿病患者は710万人であり、国別では中国、インド、米国などに続いて9番目の多さであると報告されております。こうした中、国内の糖尿病治療薬において、2009年12月にDPP-4阻害薬が10年ぶりの新規作用機序を有する薬剤として登場し、経口糖尿病治療薬の処方動向が大きく変化しました。

DPP-4阻害薬は、血糖値依存的な血糖降下作用を有することから、従来の糖尿病治療薬と比較して単独での投与においては低血糖発現リスクの低い薬剤と考えられます。しかし、日本国内においては、市販後の早い段階において、SU薬にDPP-4阻害薬を追加投与した場合に重篤な低血糖による意識障害を起こす症例報告を含めた重症低血糖症が多数報告されるという問題が発生しました。そして、その原因究明と対策のために「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」が速やかに発足し、SU薬とDPP-4阻害薬併用時の対策案がRecommendationとしてまとめられ、それ以降、重篤な低血糖の発生頻度を減らすことができてきております。

(公社)日本糖尿病協会におきましては、DPP-4阻害薬の上市に合わせて、通常診療下での大規模な調査が必要であるとの考えから、経口糖尿病治療薬(インクレチン関連薬を含む)投与に関する疫学調査研究として「UNITE Study」を計画、2010年4月の開始から11,000例の登録を頂き、現在も調査を継続しております。また、調査経過につきましては、ご協力頂いた先生方への研究会報告と共に、更に広い報告の場として、昨年の9th IDF-WPR(京都)、今年の第56回日本糖尿病学会で報告させて頂いております。

その後、2011年9月に、DPP-4阻害薬シタグリプチンはインスリン製剤と併用できるインクレチン関連薬として国内で初めて認可され、DPP-4阻害薬の経口糖尿病治療薬としての幅が広がりました。しかし、現在のところ、インスリン製剤とシタグリプチンの併用療法については臨床試験における限定された情報しかなく、実際の臨床現場での有効性や安全性を大規模に調査する必要性があると考えられます。

そこで今回、通常診療下においてインスリン製剤使用中の2型糖尿病患者に対してシタグリプチンを併用した際の、シタグリプチンの有効性と安全性を検討する大規模な研究を計画致しました。 多くの先生方にご参画頂き、糖尿病診療の向上に貢献したいと願っております。先生方におかれましては、この研究の趣旨をご理解頂き、何卒ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

研究計画書

調査の概要

1 目的

インスリン製剤による治療を実施している2型糖尿病患者に対してシタグリプチンを併用投与した症例を前向きに調査し,インスリンへの併用におけるシタグリプチンの有効性と安全性を検討する。
 

2 調査の分類

医師による市販薬の自主的な実態調査
 

3 対象

2型糖尿病患者
1)選択基準(以下のすべての項目を満たす患者を対象とする)

  • 2型糖尿病と診断されている患者
  • 年齢20歳以上の患者
  • 通常診療下でインスリン製剤にシタグリプチンを追加投与した患者
  • シタグリプチン追加投与前に一定の糖尿病治療を3ヶ月以上継続していること。

  (用量調節は可)この間のHbA1cの変動は1%以内が望ましい。
 

2)除外基準

  • シタグリプチンに対して過敏症の既往歴のある患者
  • 過去6ヶ月以内に重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡のある患者
  • 重症感染症、手術前後、重症な外傷のある患者
  • 主治医により研究参画に不適切と判断された患者

 

4 調査デザイン

医師主導型、多施設共同研究
 

5調査項目

以下項目を調査表に記入する。
1)患者背景
患者登録番号,年齢,性別,身長,体重,腹囲,合併症,既往歴,体重変化量,糖尿病罹病期間,糖尿病薬物療法治療歴,糖尿病治療薬以外の併用薬剤,喫煙歴,飲酒歴など

2)追跡項目
体重,血圧,HbA1c(NGSP値),空腹時血糖値,食後血糖値,随時血糖値,日内血糖変動(SMBGまたはCGM),GOT(AST),GPT(ALT),γGTP,クレアチニン,尿中アルブミン(U-Alb),尿蛋白,総コレステロール,LDL-コレステロール,HDL-コレステロール,空腹時トリグリセリド、糖尿病治療情報(シタグリプチンの用量,インスリンの用量、糖尿病治療併用薬,薬剤変更理由,糖尿病合併症治療薬,食事療法の遵守度,運動療法の遵守度など)、糖尿病合併症情報、有害事象、低血糖など
 

6 調査実施期間

登録期間 :
 2013年7月~2015年12月の2年6カ月間とする。
追跡期間 :
 最長2年間の追跡調査とする。

7 目標症例数

登録症例数: 10,000例を目標とする。
 

8 参加予定施設

(公社)日本糖尿病協会所属会員を中心とする糖尿病臨床医に調査協力を依頼し、当研究の主旨を承諾したインスリン治療実施医療機関(大学病院,基幹病院,開業医を含む)全国約500施設の参加を見込んでいる。1施設20例の登録を予定。

参加施設一覧
 

9 協賛企業

小野薬品工業株式会社

お問い合わせ先

日本糖尿病協会事務局
TEL 03-3514-1721 E-mail:survey@nittokyo.or.jp

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