2024年 Vol.13 No.6(第61号)
2024年12月28日発行
特集1
糖尿病の医科歯科連携
特集1
糖尿病の医科歯科連携
糖尿病のある人は1型か2型に関わらず、非糖尿病の人と比較して有意に歯周病の発症率が高いことが知られています。近年、糖尿病と歯周病の関連について多くの研究が行われ、血糖の管理状況がよくないと歯周病の症状が進行しやすいことや、歯周治療が血糖の改善に有効である可能性が明らかになってきました。
歯周病は、歯の周囲に堆積したデンタルプラーク内の細菌による炎症性疾患です。治療では、患者さん自身によるプラークコントロールに加え、歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアが必要で、医科と歯科が連携して経過を見る必要があります。特に高齢の患者さんは、血糖マネジメントの難しさに加え、日常生活動作(ADL)の低下などからセルフプラークコントロールが不十分となるため、歯周病になりやすくなると考えられます。糖尿病の診察において、歯肉からの出血や歯の動揺、口臭などの症状を早期に拾い上げて、患者さんに歯科への受診を勧めていただけますと幸いです。同時に歯科で糖尿病の未治療・治療中断の患者さんを拾い上げて治療につなげる取り組みも重要です。
2024年度診療報酬改定では、「生活習慣病管理料ⅠまたはⅡ」の算定要件に、糖尿病のある人への歯科への受診勧奨が盛り込まれました。こうした機会も生かして、糖尿病のある人の歯科治療に積極的に取り組みたいものです。本特集では、糖尿病治療における医科歯科連携の現状や課題、連携の実際について、医科歯科双方の立場から紹介していただきます。
髙野 直久(髙野歯科医院 歯科医師)
[Topic1]
糖尿病の医科歯科連携 JADEC(日本糖尿病協会)の取り組み
赤司 朋之(嶋田病院)
[Topic2]
見えない壁を乗り越える アンケート結果から考える医科歯科連携の改善策
佐々木 修二(ささき内科・糖尿病クリニック)
[Topic3]
歯科クリニックにおける糖尿病の医科歯科連携
押村 憲昭(かすもり・おしむら歯科 口腔機能クリニック)
[Topic4]
日本歯周病学会 編「糖尿病患者に対する 歯周治療ガイドライン 改訂第3版 2023」
髙野 直久(髙野歯科医院)
特集2「さかえ」連動企画
小児・思春期糖尿病 患児の自立に向けた支援
~糖尿病キャンプと移行期医療について~
特集2「さかえ」連動企画
小児・思春期糖尿病 患児の自立に向けた支援
~糖尿病キャンプと移行期医療について~
小児・思春期糖尿病の支援・教育の最終目標は、患児が自立後主体的に、より望ましい選択肢を選び、治療目標を達成できるようになることとされています。小児が自立に必要な糖尿病自己管理の知識を習得するためには、安心できる環境で成功体験を積み、自信を持つ過程が必要で、その際に大きな助けとなるのが糖尿病キャンプです。現在、全国各地で糖尿病キャンプが運営されています。一方、最終目標である自立(自律)の達成に向けては、小児期医療から成人期医療への移行期医療の充実が課題となっています。小児科では外来診療の一環として、患児の自立度を評価し、早い段階から準備を進めていく必要があります。本特集では、小児糖尿病の患児・家族への支援のうち、糖尿病キャンプと移行期医療について紹介していただきます。
堀川 幸男(岐阜大学医学部附属病院 医師)
[Topic1]
小児糖尿病キャンプをご存じですか
小川 洋平(新潟大学医歯学総合病院)
[Topic2]
小児期発症1型糖尿病における移行期医療(トランジション)
菊池 信行(横浜労災病院)
[Topic3]
日本糖尿病学会・日本小児内分泌学会「小児・思春期糖尿病 コンセンサス・ガイドライン2024」改訂のポイント
菊池 透(埼玉医科大学)
連載 糖尿病カードシステムを活用しよう
第7回 カード⑤-1「血糖」/⑤-2「血糖管理の指標」/⑤-3「尿検査」
塩澤 奈々/道口 佐多子(那珂記念クリニック)
連載 糖尿病カードシステムを活用しよう
第7回 カード⑤-1「血糖」/⑤-2「血糖管理の指標」/⑤-3「尿検査」
糖尿病治療において患者教育は重要ですが、我が国は糖尿病専門医が少なく、地域や施設で治療支援のレベルにばらつきがあるのが実情です。こうした中、糖尿病医療の現場で活用されているのが、JADECの「糖尿病カードシステム」です。これは医療者が患者さんへの治療支援を行う際に用いるツールで、病状や生活環境に応じて約100種類の「カード」と「リーフレット」を使用します。本コラムでは、このツールを活用しているCDEに使い方の工夫やコツを紹介していただきます。第7回の講師は、那珂記念クリニック 臨床検査技師の塩澤奈々氏です。
連載「地域発!CDEの活動報告」 from 滋賀
今こそ滋賀でつながろう
~CDE滋賀認定・更新・フォローアップ事業~
村松 典子(琵琶湖大橋病院)
地域発!CDEの活動報告」 from 滋賀
今こそ滋賀でつながろう
~CDE滋賀認定・更新・フォローアップ事業~
滋賀糖尿病療養指導士(CDE滋賀)認定委員会は、2014年4月に設立されました。これまで9回の認定講習会と5回の認定更新を実施し、現在約400人の認定者が在籍しています。病院に勤務している看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師のほか、保健師、助産師、介護支援専門員なども含む幅広い職種を認定しています。また、病院だけでなく、地域の診療所や調剤薬局、介護事業所、介護施設など様々な施設において糖尿病のある人に関わる方々も認定しています。さらに、認定資格取得後のフォローアップ事業として、滋賀県の支援も受けながら、県内各医療圏域でフォローアップセミナーを開催し、CDE滋賀認定取得者の恒常的なサポートを行っています。
インフォメーション
JADEC 皆さんの食事療法を支える冊子「食事療法 さしすせそ」発行のお知らせ
日本臨床内科医会 「医療スタッフ向け生活習慣病指導スキルアップセミナー」JADEC会員向け優待のご案内
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