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糖尿病に関するQ&A

Last Update:2016年5月31日

「あなたが聞きたいことは他にも聞きたい人がいる」を合い言葉に、日本糖尿病協会に寄せられた質問とその回答を整理しました。

【1】 糖尿病全般について

糖尿病ってどんなことですか?
糖尿病っていったいどんなことなんでしょうか?
血液中のブドウ糖が適正範囲を超えて上昇した状態が慢性的に持続し、それに由来する様々な組織・臓器障害(合併症)が生じる一連の症候群です。

と言われても、なんのことかよくわかりませんよね。高血糖になる原因も、合併症の出方も非常に多彩で、総合的に理解するため にはかなりの勉強が必要です。少しずつ勉強していって下さい。
糖尿病の患者数について教えてください。
日本では糖尿病の患者や予備軍は何万人ぐらいいるといわれているのでしょうか。
統計にはかなりばらつきがありますが、よく使われる数字で、糖尿病患者 600万人(ちゃんと受診しているのは200万人)、その予備軍 1200万人~1500万人、と言われています。 ちなみに、公式な統計では、厚生労働省発表の平成11年の患者数が次のホームページに出ています。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/kanja99/5.html これによると、糖尿病患者総数 212万人、 男性 112万人、女性 100万人となっていますが、これはあくまで受診数を元に割り出した数で、受診せずに放置している人を含めると、約3倍に増えると推測されています。
黄色人種は糖尿病になりやすいと聴いたんですが、本当ですか?
イギリスなどでは、「モンゴリアンは糖尿病になりやすいので気をつ けるべきだ!! 」ということが言われているようですが、食文化が 欧米化している現在、事実ならば日本人に勧告すべきでないのでし ょうか。
その通りです。このことは、既にあちこちで、ことある毎に警告されていますが、 まだ一般の方々にはあまり認知されていないのでしょうか・・・

白人と同じような食事を摂ると、高率に2型糖尿病を発症することは、多くの研究結果からほぼ証明されています。高度成長期以降に日本人に糖尿病が激増したのも、食生活の欧米化が一因であると考えられています。「食生活欧米化」の中でも、脂質摂取率 が増加していることが一番の要因である、という説が有力です。
糖尿病にならないためにはどうしたらよいのでしょうか
糖尿病の発症自体を防ぐためには、どのようなことを心掛ければ良いのでしょうか?運動をして、食べ過ぎないようにするのが良いとは聞きますが、具体的にはどのようなものを多く食べれば良いのでしょうか?飲酒や喫煙は糖尿病発症の危険因子となるのでしょうか?
糖尿病の発症自体を防ぐことを、糖尿病の一次予防といいます。

「こうすれば絶対に一次予防できる」という必勝法則はありませんが、 本協会理事長清野裕が薦めておられる7ヶ条をあげてみます。

1、バランスのとれた食生活 (総エネルギーと脂肪の摂取量に注意)
2、夜食をしない、間食をしない
3、アルコールはほどほどに
4、適正な体重の維持
5、毎日の食後の歩行(30分位)
6、ストレスの解消
7、禁煙または節煙

食事に関して、「多く食べればよいもの」という考え方はあまりありません。 摂取エネルギー(カロリー)がオーバーにならない、脂肪をとりすぎない、食物線維をしっかりとる、規則正しい食生活を守る、多くの品目をバランスよくとる、などが大切です。
糖尿病で受診したいのですが、どこの病院・医院に行けばいいでしょうか。
【類Q】人間ドックで糖尿病と認定されました。高血圧もあります。どこか最寄の適切な医療機関がないか探しています。
日本糖尿病協会のホームページで、日糖協医師検索・日糖協歯科医師検索・各都道府県糖尿病協会・友の会の一覧を公開しております。この中の医療機関の質を保証するものではありませんし、この他にも優れた病院・医院は数多くあります。

ただ、糖尿病の友の会があるということは、少なくとも糖尿病に力をいれているスタッフがいると思います。よろしかったらご参考になさって下さい。

また、日本糖尿病学会のホームページには、糖尿病専門医を検索できるコーナーも公開されています。
専門医を受診したほうがよいのでしょうか?
2年前に2型糖尿病と診断され、薬を飲んでいます。2週間に一度通院していますが、仕事の関係で今の病院に通えなくなり、新しく通う病院を探しています。近くの内科で良いのか、それとも、少し遠くても専門医のいる病院に通ったほうがいいのかアドバイスをお願いします。
糖尿病は、一生涯の長きにわたって付き合わざるを得ません。その治療のパートナーとなる主治医やかかりつけ医療機関を選ぶのは重要な問題です。

一般的に言えば専門医の方が望ましいでしょうが、専門医以外でもよく勉強して適切な治療を行っている医師も大勢おられます。また、糖尿病がその医師の得意分野かどうかは非常に大切ですが、それに加えて、十分な説明をしてくれる、人間的に信頼感を持てる、自分と馬が合う、なども見過ごせない要素だと思います。

近くに糖尿病を得意とする医師がいない場合には、近所にかかりつけ医をつくって、糖尿病専門医と連携してもらう方法もあります。毎月の投薬や検査はかかりつけで受けて、3ヶ月に一度くらいはその結果をもって専門医を受診して治療方針のアドバイスをもらうのです。
医師から入院を勧められたが通院でも治療は可能でしょうか
私の親戚の者が最近急激に痩せ、(実際には15kg)先月検査をしたところ糖尿病と診断されました。そのときの血糖値は400あり、即入院ということでしたが、1~2週間後に入院しました。その間自宅での食事療法と、低血糖の薬を飲んだところ300まで下げることができました。

入院してから2週間病院の食事では満足できず、しかも血糖値は思うように下がらなかったため、無理やりに退院してしまいました。膵臓に腫瘍の疑いもあるとも言われているので、その検査もあわせて、一刻も早く新しい病院へ通ってほしいのですが、どんな施設の病院へ行ったらいいかわかりません。できるだけ入院ではなく通院を勧めてくれる病院があればおしえていただきたいのですが・・・。
非常にコントロールが悪い状態の糖尿病患者さんに治療を導入する際には、通常、あまり急激に血糖を下げることはしません。かえって体調不良を訴えたり隠れていた合併症が急激に進んだりする恐れがあるからです。

体重減少や口渇、多尿といった急性症状が落ち着く程度までは、急いで下げますが、あとは体調や合併症の程度を見ながら2~3ヶ月かけてゆっくり下げて行くことが多いです。入院して2週間で、満足出来るまで下がらなかった様ですが、ちょっと気が早すぎる様に思えます。

できれば入院したくないとのことですが、糖尿病で激しい体重減少を伴うようなケースでは、一歩間違うと糖尿病性昏睡に陥って命取りになりかねません。したがって、入院治療が原則です。それに、「腫瘍の疑い」まであるとなると、文字の上でいくらアドバイスしても、話が進みません。病院にかなり不審・不満をお持ちなのかも知れませんが、なによりもまず、ご本人が納得して話を聞ける病院を探して、ゆっくり相談なさって下さい。
父が糖尿病で、遺伝も関係するとのことなので、心配です。
父が糖尿病で、遺伝も関係すると聞き、最近気になり始めました。そういえば、のどが渇くような、頻尿のような・・・、運動不足でもあるし、と不安は尽きません。前回の会社の健康診断の尿検査では大丈夫でした。どれくらいの間隔で、どんな検査を受ければ、予防、早期発見が可能でしょうか?
糖尿病そのものが遺伝するわけではありませんが、たしかに糖尿病になりやすい体質は遺伝する場合があります。

かなり心配されているようですが、通常は年に1~2回、血糖値や検尿の検査を受けていれば充分でしょう。ただし、糖尿病になってしまっていても、ごく初期には、空腹時に検査をすると血糖や尿糖が正常の場合があり得ます。

だから、糖尿病の早期発見のためには、わざと食後に健診を受けることをおすすめします。また、健診の結果で要注意などの指示が出たら、絶対にそのままにせず、すぐに再検査や精密検査(ブドウ糖負荷試験など)を受けることが大切です。
喫煙について
私は今年の八月に1型の糖尿病だと診断され、禁煙するように言われたのですが禁煙すると口が寂しく間食に走ります。そこで今は急にはやめれないと思いニコチンやタールが軽いたばこに変え本数も今までは一箱以上吸っていたのを10本くらいに変えたのですが、やはりこれでは意味がないことなのでしょうか。
無意味とまでは言いませんが、これで大丈夫とは決して思わないでください。

たばこは極めて強力な、動脈硬化促進因子です。経験的には、糖尿病性足壊疽という合併症をおこして、足を切断しなければ ならなくなった患者さんの殆どはたばこを止められなかった方のような気がしま す。

軽いたばこ10本でも、全く吸わないのと比べると非常に大きな差があります。さらに、ニコチンの少ない「軽い」たばこを吸うと、「きつい」たばこに比べて かえって一酸化炭素などの有害物質が血中に増加するというデータがあります。(軽いたばこは深く吸わないと満足感がないためかもしれません)

節煙ではなく禁煙できるように是非がんばってください。
同じ事をしてもらっても医療費が違うことがありますがどうしてでしょうか。
漸く教育入院を(発症時は劇症)終え 退院してまいりましたが、2週間後の通院時は、医療費はそんなに必要なかったんですが、次回の診断時からは、インスリン等含めて請求額が大幅に変わりました。こんなことがあるのでしょうか?
そのとおりです。現在の医療費の計算方法(厚生労働省によって決められます)では、かなり大幅に変わります。

理由を簡単に説明すると、薬代以外に要するコスト(注射の器具や、医師の指導料、管理技術料などさまざま なものがあります)は、「○○円を、月に△回請求しなさい」という制度だからです。同じ事をしていても、それを計算に入れた日は、他の日よりもかなり高くなります。退院した月と翌月以降では、算定にいれる項目も違う可能性があります。

【2】 糖尿病の病型と分類について

糖尿病の名称について
1型糖尿病、若年性糖尿病、小児糖尿病、インスリン依存型糖尿病、I型糖尿病、IDDM、インスリン依存性小児糖尿病などの呼び方はすべて正式名称なのでしょうか?
正式な名称は「1型糖尿病」です。

若年性糖尿病、小児糖尿病: 以前は1型糖尿病と同義の様に使われましたが、若年や小児にも2型糖尿病がかなり認められる(1型糖尿病と同数程度という説もあります)こと、1型糖尿病が中年以降にも生じ得ること、などから学会の正式な糖尿病の分類では使われなくなりました。

インスリン依存型糖尿病:インスリン依存というのは、インスリン注射をしなければ生命を保てない状態を指します。1型糖尿病であっても発病初期や特殊な症例(緩徐進行型)なども場合にはインスリン依存状態を呈さない場合があります。逆に、2型糖尿病であっても、個々の患者さんの状態によっては、インスリンを注射しないと救命できない場合があり得ます。

このため、インスリン依存型糖尿病・インスリン非依存型糖尿病という分類は正式には使われなくなりました。現在では患者さんのその時点での病態を評価して、インスリン依存状態、あるいはインスリン非依存状態という呼び方がされます。
IDDM、NIDDMという言葉はなくなったのでしょうか。
知人から糖尿病って、今はIDDMとか言わなくなったとききました。本で読むと最近は、インスリン依存型という言い方はしないらしいですね。だからIDDMとも言わない方がいいのでしょうか。友人がそのIDDM、1型なので、ついIDDMと言ってしまうのですが、DMの方も多く参加するイベントのボランティアもやってるので正しい事が知りたいなあと思います。
学術用語としては、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)という言い方はしなくなりました。

糖尿病をその病因(糖尿病に陥った原因)で分ける分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、表現しやすいと考えられる様になったからです。

病因による分類:

1型糖尿病 (従来のIDDM、SPIDDMとほぼ一致)
2型糖尿病 (従来のNIDDMとほぼ一致)
(特定の原因が明らかになった糖尿病はそれ以外に分類されます)
糖尿病の状態の表現:  

インスリン依存状態
インスリン非依存状態
従来の表現でうまく分類できなかった例に、1型糖尿病であっても、内因性インスリン分泌能が完全に廃絶していない段階で、インスリン非依存状態を呈するケースなどがあげられます。

しかし、IDDM、NIDDMと言う言い方は一般的な用語として極めて広く使われていますので、学術論文や学会以外の場にまでこの議論を持ち出して、IDDM、NIDDMという言葉を廃止することは難しいのではないかと感じています。
糖尿病の分類について教えてください。
糖尿病の分類について教えてください。NIDDM(インスリン非依存型糖尿病)、IDDM(インスリン依存型糖尿病)とはどういう状態ですか。
NIDDM = Non-Insulin Dependent Diabetes Mellitus(インスリン非依存型糖尿病) これに対して IDDM があります。 IDDM = Insulin Dependent Diabetes Mellitus(インスリン依存型糖尿病) これらの用語は最近の学会の定義では、正式な名称としては使われなくなりましたが、大雑把にいうとNIDDMは2型糖尿病に相当し、IDDMは1型糖尿病に相当するものです。

一般に糖尿病は1型糖尿病対2型糖尿病、 あるいはインスリン依存型糖尿病対インスリン非依存型糖尿病という分類がなされてきました。 インスリン依存型とは、体内のインスリン産生能が皆無に近いため、 体外から補充しないと生存できない事を意味しています。 これに対し、体内にあるインスリン(内因性インスリン)だけでも生存可能な糖尿病を インスリン非依存型糖尿病と呼びます。

古典的には1型糖尿病=インスリン依存型、2型糖尿病=インスリン非依存型、 と考えられてきましたが、近年この考え方は改められつつあります。 インスリン依存・非依存は患者さんの現在の状態を表し、1型・2型の分類は糖尿病の病因を表す分類と考えて下さい。

1型は膵臓のランゲルハンス島が激しい炎症をおこした結果 インスリン分泌能が著しく低下ないし枯渇してしまうもの、 2型はそれ以外の原因でインスリンの作用不足が現れて高血糖になるものです。 これらに加えて、糖尿病の原因遺伝子が同定されるなどによって、原因が特定されたケースは、その他の特定の原因による糖尿病という形で、別に分類されます。
若年性糖尿病、小児糖尿病とはどんな状態でしょうか。
ランゲルハンス島の炎症は若年者や子供でも起こり得るため、 若年で発症する糖尿病の中で1型糖尿病は大きなウエイトを占めてきました。このため1型糖尿病を若年性糖尿病と呼んだ時期があります。

しかし、ランゲルハンス島の炎症が年齢にかかわらず高齢でも起こりえること、若年者の糖尿病の中にも2型糖尿病がかなり多く混ざっていること などから、若年性糖尿病という言い方は使われなくなってきました。

同様の理由で、小児糖尿病も1型糖尿病と同じ意味には使われません。しかし、子供の糖尿病には、その成長過程を考慮して様々な注意が必要であることなど、大人の糖尿病と違った側面があることは紛れもない事実ですので、「小児糖尿病」と言うカテゴリーは現在でも重要な意味をもっています。
インスリン注射をしている患者さんはインスリン依存状態なのでしょうか 。
ちがいます。日本でインスリン治療を受けている患者さんの多くは、 インスリン療法を受けなくても生存は可能だが 食事療法や経口糖尿病薬で良好なコントロールが達成できないために インスリン療法を受けることになったもので、 この様な方は、インスリン依存の定義には含まれません。 インスリン注射をしている患者さんすべてがインスリン依存状態(1型糖尿病、インスリン依存型糖尿病)とは限らないのです。
1型糖尿病でランゲルハンス島が傷害されるのはどうしてですか。
1型糖尿病においてランゲルハンス島が炎症をおこす原因は、 多くの場合自己免疫のメカニズムです。 体内に侵入した病原体を攻撃して排除する働きを免疫と言いますが、 この免疫の作用が誤動作をおこして自らの体の組織を攻撃してしまう現象が自己免疫です。 つまり、ランゲルハンス島が体外から侵入してきた病原体と誤認されて攻撃をうけるわけです。
1型糖尿病はインスリン依存状態になるのですか。
1型糖尿病の場合、最終的にはランゲルハンス島の機能が廃絶してしまい、 インスリンを補充しなくては生存できないインスリン依存型糖尿病になります。 しかし、しっかり治療を行うと、ランゲルハンス島の機能が一時的に持ちなおして 緩解期を迎える例もあります。 さらに、1型糖尿病であってもランゲルハンス島の傷害が比較的緩やかに進み、 長期間にわたってインスリン分泌能を維持するケースもあることがわかってきました。 これらの様なケースでは、インスリン補充療法を受けななくても血糖がコントロールでき、 インスリン非依存型の病像を呈する事がありますが、 やはり最終的にはインスリン依存型へと移行していきます。
2型糖尿病でインスリン作用が不足になる原因を教えてください。
2型糖尿病は日本人の糖尿病の大部分を占める病型です。2型糖尿病は1型糖尿病に比べ食べ過ぎや運動不足など生活習慣や加齢の関与が大きく、中年以降の比較的高齢の肥満者に発症しやすいタイプです。最近では「インスリン抵抗性」というメカニズムも注目されています。2型糖尿病では、一般的にはインスリン非依存状態の病像を呈し、食事療法と運動療法が治療の基本となります。食事療法、運動療法でうまくコントロールできない場合には 第二段階としてスルフォニル尿素(SU)剤などによる薬物療法が行われ、 それでもコントロールが難しい場合にはインスリン療法が行われることもあります。 また、2型糖尿病であっても、重篤な感染症や糖尿病性ケトアシドーシスなど、 生命を守るためにインスリン療法が不可欠な状態に陥ることもあります。
2型糖尿病の原因の説明は漠然としていてよくわかりません。どうしてですか。
1型糖尿病の病態やその発症過程はかなりのレベルまで解明が進んでいるのに比し、 2型糖尿病の方はまだまだ分からないことが多く残っています。それには以下のような理由があります。 1型糖尿病はもともと病像がはっきりしている均一に近いグループですが、 2型はそれ以外のものを寄せ集めてひとくくりにしたものといえます。 1型糖尿病は発症時期が明確に特定できる事が多く、病気の進行経過を把握しやすいのに対して、2型糖尿病はいつの間にか発症していて、発見時にはすでにかなり進行していたりと、 病気の経過を把握することさえ容易ではないのです。
テレビでペットボトル症候群という言葉を聞きました。どのようなものなのか教えてください。
もともと糖尿病と診断されていなかった人が、糖分を含む清涼飲料水を大量に飲んだために、血糖値が上昇し、糖尿病を発病するケースの事です。 血糖値が上昇し始めると、ますますのどが渇く、だからますます飲む、するとますます血糖値が上昇するため、飲めば飲むほどのどが渇くという悪循環に陥ることが多く、口渇、多飲、多尿、体重減少といった、糖尿病の典型的な急性症状を伴って、かなり急激に糖尿病を発症する場合が多いです。もちろん、夏場に多いですが、冬に発症した患者さんもいました。 最近、出会った患者さんでは、次のような方が印象に残っています。 「お茶より体によい」と思ってスポーツ飲料を多飲していたら、実は糖分が多量に含まれていたために、血糖値が上昇してしまった20前の男子大学生 「砂糖不使用の野菜ジュース」をこれも体によいと思って飲んでいたら、ハチミツが添加されていたために、血糖値が上昇した20代の女性 飲物の成分にはよく気を付けましょう。

【3】 糖尿病の検査・診断について

体重増加、のどの渇きが気になります。病院で検査をうけるべきでしょうか。
毎年、春の健康診断では、すべて異常なしですが、3年前の一泊二日の人間ドッックでは、「境界型糖尿病に近いので、気をつけるように」とのことでしたが、特に何もしておりません。最近、体重増加・ウエスト増加が気になりだしています。症状は、喉の渇き・お茶等の多飲・だるさが取れない等です。運動は、自転車通勤(片道約3km、15分)くらいで他は特にしていません。病院で検査をうけるべきかどうか迷っています。
通常の健診では、軽症の糖尿病は見逃されてしまう可能性が十分あります。3年前の人間ドックで「境界型糖尿病に近い」と指摘されたのは、恐らくもう少し詳しい検査で、糖尿病になりやすい体質が確認されたのだろうと思います。最近の喉の渇きなどの症状からも、是非近いうちに、糖尿病に関する精密検査を受けられた方が良いと思います。
尿に甘いにおいがしますが、検査を受けた方がいいでしょうか。
私はお酒を飲む機会がとても多く、週に3から4日、昼間から夜まで飲みつづけている事も多々あります。ここの所体かだるく、小便に甘いにおいが感じられる様になりました。検査を受けた方が良いでしょうか?また、その場合どんな病院に行けば宜しいでしょうか?
「甘いにおい」が何からきているのか、ここではわかりかねますが、体調に不安を感じたときには、すぐに受診して、医師に相談されたほうがいいと思います。 最初から専門医に拘る必要はありません。(何処が悪いのかもまだはっきりしませんから)まずは、安心して相談できる内科医を探して下さい。

もちろん、ご自分でも気付いておられるように、現在の飲酒習慣が好ましくないことは間違いありませんから、なんとか改善するよう心がけて下さい。
肥満でもないのに、尿糖が出ました。糖尿病でしょうか。
先週保険に入ろうと思い健診にいったら尿検査でこれだけ色が出てれば糖尿病だといわれました。(2日前に夜中まで飲んでいて疲れがアリ)前の会社では毎年の健診で尿検査で糖が出たことはありませんでした。その後、尿検査紙でトイレに立つつど調べていますが、夜,食後にお酒を飲むと3回に1回位糖がでます。糖尿病でしょうか。ここ数ヶ月で2kg体重が増えたが、BMI=23.4で標準が22なのでまだ肥満ではないです。
糖尿病かどうかの診断には、血糖値の測定が不可欠です。糖尿病ではない(つまり血糖値が上昇していない)のに、尿に糖が出る、腎性糖尿という状態もあります。尿糖だけでは、この様な状態との区別がつきません。

逆に、糖尿病でも、血糖値の上昇が軽度の場合など、尿検査のタイミングによっては尿糖が出ない場合もあり得ますので、こちらも注意が必要です。

また、糖尿病と肥満はよく結びつけて考えられていますが、必ずしも肥満でなくても、糖尿病は発症することがあります。むしろ、日本人には肥満でない糖尿病患者さんの割合がかなり多いと考えられています。
尿糖(+3)とはどんな意味でしょうか。
職場の健康診断において、2年連続し尿糖(+3)と言われました。質問ですが数値の意味と、今私が心掛けなければならないことを教えてください。
尿糖が陽性であれば、糖尿病の疑いがありますので、まず病院できちんと血糖値などの検査を受ける必要があります。ちなみに、尿糖+3というのはかなり強いほうですので、絶対に放置しないでください。

血糖値の検査を受ける際には、空腹時に一度だけ検査して正常であっても、軽症の糖尿病は否定できません。食後に検査を受けたり、必要に応じてブドウ糖負荷試験などを行って、判定する必要があります。

また、血糖値が正常なのに尿中に糖が混ざる「腎性糖尿」という体質の人もありますが、この場合は糖尿病とは区別して考えます。これも血液検査を含む精密検査で判定できます。

【4】 糖尿病の諸症状(合併症以外)について

喉が渇いてよく飲物を飲みますが、大丈夫でしょうか
暑いせいかわからないのですが最近喉が渇く感じがします。一日に約1.5リットル飲み物を口にするようになりましたけど自覚症状はほかにありますか?
暑いときにのどが渇くのは当然ですし、それに見合った水分補給も必要です。ただし、異常なほどの喉の乾きに、多尿などが伴ってくると、糖尿病の症状の疑いは拭えません。症状に不安があれば、早めに受診されるようにお薦めします。

また、のどが渇いたときに、糖分を含む清涼飲料水をがぶ飲みしたために、急激に糖尿病を発病するケースも時々あり、「ペットボトル症候群」と呼ばれています。のどが渇いたときの水分補給には、ふだんから甘い飲物を控えた方がよいでしょう。
食べ物は塩気の少ないものをとっていますが、良く喉が乾きます。
一度血糖値などの検査をお受け下さい。 簡単には答えにくいですが、のどが乾く原因としては、糖尿病ももちろんあり得ます。ご心配でしたら、とにかく一度血糖値などの検査を受けるために受診されることをおすすめします。

また、糖尿病でそのような自覚症状が出るのは、かなり状態が悪い(血糖値が相当高い)ときなどで、初期に症状が出ることはあまりありませんので、ご注意下さい。
足の裏のジンジンした痛みは糖尿病に関係ありますか?
社会人6年目、コンピュータ会社に勤務しており、仕事はなかなかハードで生活が不規則になりがちです。ちょうど一年前くらいから、今までになかった症状が体に出始めました。それは寝ている時や、座っている時に限るのですが、足の裏がもの凄くジンジン痛むのです。そしてそこから凄く汗をかきます。でも立って行動している時は不思議と何も痛くならないのです。この症状のせいで、寝ている時は起きるのが辛く、また座っている時は仕事に集中出来ないことがよくあります。このような症状は糖尿病の初期段階の心配があるのか教えて頂けないでしょうか?
糖尿病から、足のしびれなどが起こるのは、糖尿病の合併症の一つである糖尿病性神経障害を発症することが主な原因です。合併症が起こるまでには、糖尿病になってから最低でも数年以上かかりますから、糖尿病の初期段階でご相談のような症状が起こることは考えにくいです。

しかし、それ以外の異常がないかどうか、また、数年以上前から糖尿病が隠れて進行していた可能性はないのか、など、確認しなければいけない点はいくつかありますので、一度受診された方がいいとおもいます。
お腹が空くと、冷や汗が出てくる。
普通に食事をしています。空腹になってくると、無気力になり、手が震えてくるような気がします。そのまま、食事の時間まで我慢していると、冷や汗が出てきて、めまいがし、ひどいときには、動けなくなってしまいます。このような症状は、糖尿病なのでしょうか?
むしろ低血糖が疑われます。

症状だけから想像すると、血糖値が上昇しすぎる糖尿病ではなく、逆に血糖値が下がりすぎている低血糖の疑いがあります。

低血糖を起こす原因には、内分泌の問題(インスリン、甲状腺ホルモン、その他各種ホルモンの異常)、消化器官(胃腸や肝臓)の問題、飲み薬や注射などの薬の影響、食事の内容や運動によるエネルギー消費の影響、など関与する要素がいろいろありすぎて、手短に説明することは困難です。糖尿病の初期段階でも、空腹時に低血糖を生じることがあります。希ですが、インスリンを必要以上に(勝手に)作り出す腫瘍が隠れていることもあります。

とりあえず空腹時の症状が出現した時の血糖値を測定してみる必要があります。その上で、本当に低血糖であれば、その原因を調べていくことになります。まずは内分泌や糖尿病に詳しい専門家の診察を受けてみることをお勧めします。
多飲、多食、疲労感、体重減少が続いています。
糖尿病の初期症状というのは、多飲、多食、疲労感、急な体重減少などがあるみたいなのですが、私の場合もう半年以上前から多飲、疲労感が続き、ここ2ヶ月の間に、約5kgも体重が減ってしまいま した。これは糖尿病の可能性が十分考えられますよね?
原因を断言することは出来ませんが、糖尿病の可能性は充分考えられます。もちろん、糖尿病以外の病気でも、急激に体重が減るような場合は要注意の信号です。大至急、受診してきっちり検査を受けて下さい。

ちなみに、お書きになっているような症状を「初期症状」という人も あるかも知れませんが、糖尿病の場合は本当の意味での「初期 症状」はないと言うべきです。気にされているような症状は、糖尿病がかなり悪い状態に陥った 場合にしか現れないのです。だから、本当にその症状があるので したら、大至急(!!)診察を受けて下さい。

【5】 低血糖について

低血糖時の補食は一日のカロリーに含めるべきでしょうか。
低血糖になった時またはなりそうな時に摂った、糖分や1単位程度の食事というのは1日の制限カロリーの中に含まれるのでしょうか。それとも別に考えてよいのでしょうか。
低血糖の時10~20gの砂糖かブドウ糖を勧めていますので0.5~1単位になります。低血糖はいわば非常事態ですので一日の指示エネルギー量と別に考えていいのではないでしょうか。

以前DITN ( Diabetes in the news )でアメリカでは夜間の低血糖に対してびっくりするほど沢山食べるよう指示している記事を読んだことがあります。

なお、低血糖はおこってから対処するより予防的に対応する方が少ない補食ですむと思います。
インスリン治療中の夜中の低血糖について
インスリンを打ているのですが夜中に低血糖を起こすのですがそれが不安でなかなか寝付けないのですがどうしたらいいのでしょうか。
血糖自己測定を利用するのが一番いいと思います。

眠前の血糖値を測って、低すぎる場合は深夜~早朝の低血糖を防止するために、眠前に軽く補食(0.5~1単位)をする方法があります。

どの程度の血糖値から補食が必要かは、個人差が大きいので一概には言えませんが、140くらいを目安にすることが多いようです。
低血糖時の補食にはどのような食品がいいのでしょうか。
ボランティア活動の場に1型糖尿病の子どもがいます。血糖測定は自分でしていますが、時々、低血糖を起こしても言い出せないようです。自分も何をとらせてやればいいかわからず、できることはないかなと思って相談します。今はまあまあでもこれから運動をするとかで下がりそうな時とすでにもう70以下に下がっている時ではとらせる食品が違うと姉から聞きました。どのようなものを準備しておくといいのか教えてください。
低血糖時の対処として考えるべきことを3つに大別してみます。

1)とりあえず、現在の血糖値を上昇させて症状を取り除く

速やかに体内に吸収される砂糖やブドウ糖、あるいはそれを含む飲料などが適しています。
2)現在の低血糖を改善させた後、次の食事までに再び低血糖になるのを防ぐ

次の食事時間が近い場合: 砂糖やブドウ糖に引き続いて食事を摂る
そうでない場合: 単純糖質以外の炭水化物を0.5~1単位補食する
3)今は低血糖ではないが、運動などで血糖が下がりすぎるのを防ぐ

運動の持続時間やつよさに応じて、単純糖質やそれ以外の炭水化物をうまく組み合わせて1~2単位くらい(個人差や運動の程度で違いが大きいので一概には言えませんが)
従って次の2種類を組み合わせて準備すると良いのではないでしょうか

血糖を速やかに上げるもの(そのかわり下がるのも早い)
例: 砂糖、ブドウ糖、砂糖入りの飲料
血糖をゆっくり持続的に上げるもの(低血糖の速やかな改善には適さない)
例: スナック菓子、パン、おにぎり
低血糖時にブドウ糖を摂る理由は?
血糖値を下げるお薬を飲んで、急激に血糖値が下がってしまった場合に、すばやく、ぶどう糖を補給するために、市販のぶどう糖や飴を食べるようにと、本に書いてありますが、逆に急激に補給することによって、インスリンの働きに異常を及ぼすことはないのでしょうか?

糖を下げるためのお薬を飲んだのに、なぜ、血糖値を上昇させるブドウ糖を補給するのですか?
血糖値をコントロールするホルモンとして、血糖値を下げるインスリンが よく知られていますが、反対に血糖値を上げるホルモン(グルカゴンなど) もあります。糖尿病でないひとの体の中では、食べ物の摂取や血糖値の変動に 応じて、これらのホルモンの分泌がきめ細かく調節されています。例えば・・・

食事を摂って血糖値が上がりそうになる → インスリンが増えて血糖を下げる
食欲がなくて食事量が少なかった → インスリンは少しだけしか出ない
忙しくて食事を抜いてしまった → インスリンは殆ど出ず、逆に血糖値を上げる作用のホルモンが増える
このきめ細かい自動コントロールの機能に狂いが生じて、高血糖が続く ようになった状態が糖尿病で、その治療のために、体内のインスリンを 増やす飲み薬やインスリン注射を使用することがあります。薬や注射によって増やされたインスリンは、自動調節の一環として分泌 されるもともとのインスリンとは違い、上記のようなきめ細かいコントロール がききません。

このため、毎日同じように薬やインスリンを使っていても、日々の体調や 運動量、食事時間のズレなど、さまざまな要因で血糖値が上がりすぎたり 下がりすぎたりする恐れが出てきます。この「下がりすぎ」を低血糖といいますが、低血糖状態になると体はたちまちおかしくなってしまいます。これを改善するためには糖分を補給する しかないのです。
睡眠中に低血糖になるときがつきますか
睡眠中に低血糖が起きた場合、それに気が付く場合と、気付かない場合があります。人によっても違いますし、同じ人でも時によって違うかも知れません。

気が付かないと、最悪の場合は低血糖性昏睡に陥って、誰かに発見してもらえるまでそのままになってしまう恐れもありますので要注意です。

また、睡眠中に低血糖を起こしていると、その反動で起床時や朝食前の血糖が高くなる場合もあります。人間の体には低血糖になると異常を感じて何とか血糖を上げようとする働きがあるためです。このため、予想外に朝の空腹時血糖が高い場合などは、夜間に低血糖を起こしていないか、注意する必要があります。

【6】 糖尿病の合併症について

インスリン治療を開始したら、手足のしびれと痛みが出現しました。
すでに10年前位から糖尿病だと思いますが、それを放置してきて、最近真剣に治療に専念し始めています。現在、インスリンを朝12単位、昼10単位、夜10単位打ち、血糖値は平均200位を前後しています。長い間何もしなく来たのでその結果と思いますが、最近、手足が痛く夜も寝られない状態です。いい薬と治療方法があれば教えて下さい。
長いことコントロール不良で放置していた方が、治療を強化した時に、疼痛を伴う末梢神経症状を自覚することが時々あります。「有痛性治療後神経障害」と呼ばれ、なかなかやっかいな症状です。

おたずねの症状がこれに当てはまるのかどうかは、痛みの原因として他の異常がないかということも含めて、よく検討する必要がありますので、ここで断定することは出来ません。主治医とよく相談なさって下さい。

有痛性治療後神経障害の原因は様々なことが考えられますが、はっきりとはわかっていません。これが現れると、「治療したらかえって辛くなった」ように感じるため、治療の意欲をそがれやすいのですが、根気よく(数ヶ月~場合によっては1年以上)治療を続けていると、症状が和らいでくることが多いようです。その他の合併症の心配もありますから、くじけずにコントロールを続ける必要があります。

また、対症療法としては、一般的な鎮痛薬は効果が少ない上に、胃腸障害などの副作用を起こしやすいので、あまり使われませんが、それ以外のいくつかの薬剤が有効である場合があることが報告されていますので、糖尿病の専門医によく相談なさって下さい。
神経障害によるインポテツについて
5年前に1型糖尿病と診断されてインスリン治療を1日4回やっています。ここ半年間まったくといっていいほど勃起しません。バイアグラをのんでもさほど効果はありません。血糖値を下げ安定させれば治るのでしょうか?

【類Q】糖尿病になると夜の生活のほうは余り芳しくないのでしょうか?症状として薬を飲むほどではないみたいなのですが?
まず基本的に、糖尿病になってから神経障害を発症するまでにどんなに早くても(つまりどんなにコントロールが悪くても)6~7年以上はかかるのが普通です。さらに、糖尿病性神経障害が始まっても勃起障害より先に、足のうらのしびれなど、さまざまな末梢神経障害の症状が現れることが多いのです。

したがって、この勃起障害が本当に糖尿病性神経障害によるものなのかどうか、主治医によく相談して見極めてもらう必要があります。勃起障害には、精神的なストレスや体調不良などさまざまな要因が関わりますから、「糖尿病だから糖尿病性神経障害のせいだ」と性急に決めつけない方がよいと思います。

神経障害の初期には、血糖値を安定させることで障害が改善するという報告もあります。血糖値を安定させることがプラスに働くことは充分予想できます。また、勃起障害の主因が糖尿病性神経障害ではないとすると、体調不良の一因として、血糖コントロール不良が関わっている可能性もあります。そうであれば、血糖値を安定させることによって改善する可能性はますます高まると思います。

いずれにしても、主治医によく相談して勃起障害の原因を突き止めること、そして、血糖コントロールが不良なのであれば勃起障害のためだけでなく様々な合併症を防ぐ意味からもコントロールを改善させることが大切です。
糖尿病患者は何故、感染しやすいのですか?
糖尿病の叔母(45歳)が結核にかかっています。感染しやすい、という事を耳にしました。糖尿病だと何故、抵抗力が弱くなるのですか?
細かくみると様々なメカニズムに異常を来していると言われていますが、おおきなものとして次の2つがまずあげられると思います。

1)免疫機能の低下: 白血球が感染巣に集まって病原体を退治する機能などが弱まることが知られています

2)細血管障害: 血管障害から血行障害がおこってくると、組織そのものが脆弱になる、組織の炎症修復能力が低下する、などの問題が生じてきます
足の裏が毎日いたくて困っています。
糖尿病で病院に通院していますが、足の毎日だるく、痛いです。痛みを和らげる薬を処方されていますが、よくありません。何かアドバイスがあれば、お願い致します。
足の裏の痛みには、次のようないろんな原因が考えられます。

糖尿病性末梢神経障害に伴ういわゆる神経痛
血糖を下げる治療開始後に下肢の疼痛が現れてくる治療後有痛性神経障害
下肢の血管に合併症から血流障害がおこって出てくる阻血性の疼痛
もちろん、その原因によって対処方法も予後も違ってきます。 すでに痛みを和らげる薬を飲んでいるようですから、主治医は病状を把握しておられることと思います。まず、今後の見通しなどを主治医によく聞いてみて下さい。
足のバイパス手術後ですが、まだ左足が痛みます。原因は糖尿病ですか?
先日、足の付け根の大動脈が詰まっていると言われ手術をしました。(バイパス)先生の話では、手術をすると足の循環がよくなり痛みも和らぐと言われましたが、いっこうによくなりません。また、浮腫みもとれません。とくに、左足の足首からくるぶしにかけて痛みが激しいです。 どうしたら痛みがとれますか? また、原因はなんでしょうか? (13年人口透析もしています)
言葉だけではわからない部分がありますので、あくまで一般論ですが、やはり糖尿病性血管障害が一因となっておこる血行障害によるものの可能性が 高いのでしょう。また、糖尿病性神経障害による疼痛の可能性も少なくありません。

一般に、透析に至ってしまった患者さんは、石灰化を伴う動脈硬化を来しやすく、 血行障害が重症になりやすい傾向があるようです。 その様な場合、痛みを和らげるためには、手術や薬で血行を改善させることが 最優先課題です。また、良好な血糖コントロールを維持することも大切です。 もちろん、血行障害以外の原因がないかどうか、チェックする必要はあります。
糖尿病性腎症が悪化して透析を受けるようになると、石灰化が激しくなるというのはどうしてですか?
石灰化というのはカルシウムが不要な箇所に異常に沈着した状態を指します。生体内でカルシウムの代謝をコントロールする鍵を握っている、ビタミンDという物質があります。ビタミンDが有効に作用するためには、体内で活性型ビタミンDという形に変換される必要がありますが、この変換に腎臓が大きな役割を果たしています。透析(腎不全)の患者さんでは、この働きがなくなるため、カルシウムの代謝異常がおこることが石灰化の一番の原因と言えます。
1型と2型とでは合併症の発症のちがいはありますか?
身内に糖尿病が原疾患の透析患者がいますが循環不良のため指が黒色化して最後には壊死し切断という例があると聞きました1型と2型とではこのような事に違いはありますか?また予防策としてどの様なことをすればよいのでしょうか。
1型と2型で合併症の質に大きな違いはありません。ただし、1型2型をとわず合併症の出易さや進展経過には個人差はかなりあります。また、1型の方がコントロールが難しくなりやすいため、合併症そのものの頻度はやはり多くなる傾向はあります。

合併症の予防策としては、なによりも早期からしっかりとした血糖コントロールを行うことです。また、高脂血症や高血圧などがあると動脈硬化などの血管障害が進みやすくなります。したがって、血糖コントロールのみでなく、血清脂質(コレステロール、中性脂肪など)や血圧も適切に管理することが望まれます。最近は糖尿病患者さんでは血清脂質、血圧ともに、非糖尿病者に比べて厳しい管理目標が設定されるようになってきています。

また、いつも手足を清潔に保ち、異常がないか毎日チェックすることも非常に大切なことです。とくに、糖尿病性神経障害が現れて足のしびれなどがある場合には、目で見て確かめる習慣をつけるひつようがあります。
糖尿病と目の関係について
糖尿の人は眼科にも行かないと駄目と言われました。糖尿から目にはどのような影響があるのですか?
まず、糖尿病の恐ろしい合併症の一つである、糖尿病性網膜症があげられます。糖尿病の治療をおろそかにしたまま放置すると、最悪の場合失明に至ります。

この糖尿病性網膜症は、現在の医学で確実な対処が可能な時期にはまず自覚症状が現れません。自分で大丈夫だと思っていても油断せずに、かならず眼科で検査を受ける必要があります。
合併症が進んでいるようですが、病院に行きたがりません。
68歳になる父は、15年前から糖尿病といわれ一時は治療をしていましたが、また暴飲暴食を繰り返して放置しています。最近は手足のしびれやむくみ、冷感が強くなり視力も少し衰えてきている様で、少しセーブして自分で運動のためにプールにも通っています。しかし、いくら病院に行くように言っても、「どうせ死ぬんだから」と全く言うことを聞いてくれません。
頑固で一見元気な方が病院に行きたがらないのを、受診するよう説得するのは、極めて難しいです。「どうせ死ぬのだから・・・」との事ですが、人間はなかなか簡単には死ねません。糖尿病の治療をおろそかにしていて、合併症でどうにもならなくなってしまった患者さんの悲惨さは、まず想像が付かないのではないでしょうか。

(本当にいた患者さんの実例です)

60前の男性、ほんの数年前まで、「自分の体のことは自分が一番よく知っている」と強がりを言って、糖尿病を放置して仕事に打ち込んでいた方です。糖尿病のせいで両目はほぼ失明、かろうじて人の影が見える程度です。両足とも、糖尿病性壊疽のため太股の途中から切断されてありません。その上、腎臓が悪く、週3回の透析を受けています。目が悪い上に足がないため、通院が不可能ですから、透析施設がある病院を数カ月おきに転々としています。

そうなると、生きる意味も見失い、生き甲斐もなく、それでも死ぬことも出来ず、苦しみだけの毎日です。人格まで変わってしまって、周りの人々(親族や病院のスタッフ)に八つ当たりして、口汚く怒鳴り散らすだけしかすることがないのです。家族は見放してしまって、殆ど面会にも来ません。病院のスタッフにとっても、とても歓迎できる相手ではありません。追い出すわけにも行きませんから、八つ当たりが高じて、「こんな病院出て行ってやる」となった時に、これ幸いと、紹介状を持たされて、たらい回しされていました。

この患者さんから、仕事、人間らしい生活、家族の愛情など全てを奪い取ったのが糖尿病なのです。まず、ご家族の皆さんが、そういう糖尿病の本当の怖さをよくご理解して下さい。その上で、時間をかけてよく話し合いするしかありません。
糖尿病患者が腎不全になり透析導入となる率を教えて下さい。
長期的なコントロールの良否によって違いますので、いちがいには言えません。

たいていの患者さんは、糖尿病性腎症の早期段階である、アルブミン尿や、蛋白尿が出るところまでは進んでしまうことが多いです。しかし、末期まで進んで腎不全、透析となるのは、コントロール不良の患者さんのなかでも、約3分の1と言われています。

このため、糖尿病性腎症が末期まで進かどうかには、血糖コントロール以外の要因、例えば血圧とか、遺伝的な体質など、が関わっていると推測されています。

これに対して、糖尿病性網膜症は、コントロール不良であれば、ほぼ直線的に進行して、全員が末期(失明)まで至る危険を持っていると言われています。
腎機能が低下してきた時の食事などの注意について教えて下さい。
私の父のことで伺います。30年来の糖尿病で、インスリン注射をはじめました。もともと腎臓が弱かったそうで、機能がかなり低下しているそうです。病院の先生には、いずれ(1年以内に)透析をしなくてはいけないといわれたいますが、食事はどのようなものがよろしいのでしょうか。一応、カリウムに気をつけて、野菜をゆでたものを多く食べています。また、最近体力が落ちたなどと話していますが、腎臓の関係から運動は控えています。体力をつけるためにはどのようなことが効果的でしょうか?
このお話だと、恐らく、既に血清クレアチニンが上昇し、腎不全期にさしかかっているのだろうと想像しています。この時期になると、食事療法の主眼は、血糖値のコントロールよりも、残った腎機能を保護することになります。そのためのポイントは、以下のようになります。

摂取エネルギー制限の緩和 蛋白制限の強化 塩分制限の強化 (血清カリウム値に応じて) カリウムの制限 (浮腫や心不全などの傾向に応じて) 水分の制限 しかし、具体的な内容は、個々の患者さんの病状によって違いますので、主治医によく相談なさって下さい。

食事以外の面では、体が疲れてしまうような運動は、かえってマイナスになる恐れがありますが、体調によっては軽い散歩などは大丈夫かも知れません。この時期になると、風邪をひいたりしただけで、腎症の悪化を早めてしまうことが少なくありませんから、体力を付けると言うよりも、ふだんからの体調の維持に気を付けて下さい。
便秘も糖尿病の合併症でしょうか?
もともと便秘症だったのですが、最近特にひどくなって困っています。野菜は血糖の上昇を抑えるというので、3食沢山とっているし コントロールも前よりはよくなっているはずなのに・・・合併症が進んでいるのでしょうか?
糖尿病による自律神経障害が進行すると、胃腸の動きに異常が生じて、便秘や下痢を起こす場合があります。しかし、便秘は糖尿病と無関係にもよくある症状ですから、現在の症状が合併症によるものかどうか、このお話だけではなんとも言えません。

以下のような点に注意して、主治医から詳しく説明してもらって下さい。

1.便秘に関連する糖尿病以外の病気の恐れはないか。大腸ポリープや大腸癌も日本人に増加していますので要注意です。
2.自律神経障害が生じているなら、他にもそれに並行して合併症が進んでいるの可能性があります。その様な徴候が出ていないか。

【7】 糖尿病の食事療法について

糖尿病で極端な食事療法をしている父が心配です
数年前に糖尿病と診断され、悪化を防止するために極端な食事療法と運動療法を続けています。炭水化物は多めにとらなければならないと言って、ご飯を大盛り食べ、その他に野菜を大量に食べます。タンパク質の量などは自分で加減しているようですが、毎日大量の食事をとるので胃の調子が悪いと言っています。そして、時折我慢できなくなるのか、ナッツ類をたくさん食べたり、おいもをたくさん食べたりします。
糖尿病食の基本は高炭水化物・低脂肪食といわれますが、これは炭水化物をたくさんとりなさいという意味ではありません。一日の総摂取エネルギー(カロリー)を適正な値に制限して、その中で炭水化物の配分を多くして脂肪の配分を減らしましょう、という意味です。

胃をやられるほどの大食が好ましいとは思えません。ナッツやお芋を間食として食べるのでしたら、なおのこと、好ましくありません。
食事調査の方法について
境界型糖尿病・初期糖尿病の社員を対象に健康教育の一環として、食事調査をしたいと思います。公式な食事調査の方法があるのでしょうか?特に以下の2点について一般的にどのように行われているか教えて下さい。1、何日くらいの調査が適当か。2、聴取方法(聞き取り、本人による書き出し等)
一般的には3日分くらい記録させることが多いと思います。

聴取方法(聞き取り、本人による書き出し等)にはそれぞれ一長一短がありますので、どちらがいいとは一概に言いにくいです。 聞き取りだけだと、本人が忘れてしまっているものが出てきます。本人による書き出しは(聞き取りでも結局はそうですが)分量などの精度が全く保証できません。

経験上は、本人に記録させて、それを元に聞き取りを行うのが一番正確なデータが得られそうに思いますが、それでも、どれくらいの精度が得られるか、確証はありません。

血糖コントロールが乱れてしまった糖尿病患者さんで、食事内容を記録させてみても全く問題がなかった筈なのに、いざ入院させると、病院の糖尿病食を食べさせただけで著しく改善するケースは少なくありません。食事記録があてにならない実例だと思います。 逆に、正しい食事記録が書けるだけの認識があれば、コントロールに苦労しない、と言えるのかも知れません。
低血糖時の補食について
低血糖になった時またはなりそうな時に摂った、糖分や1単位程度の食事というのは1日の制限カロリーの中に含まれるのでしょうか。それとも別に考えてよいのでしょうか。
低血糖の時10~20gの砂糖かブドウ糖を勧めていますので0.5~1単位になります。低血糖はいわば非常事態ですので一日の指示エネルギー量と別に考えていいのではないでしょうか。

以前DITN ( Diabetes in the news )でアメリカでは夜間の低血 糖に対してびっくりするほど沢山食べるよう指示している記事を読んだことがあります。低血糖はおこってから対処するより予防的に対応する方が少ない補食ですむと思います。
食事療法中ですが、薬物治療が必要でしょうか
現在、食事療法のみで治療を受けていますが、コントロールが安定せず、Hba1cの値が7.2~9.7間で変化します。血糖値139 尿糖はマイナスです。薬服用が必要でしょうか。
血糖値139というのは、食前と食後で全然意味が違ってきますので、これについてはコメントが難しいです。

HbA1cが7.2~9.7の間で変化するというのは、ちょっと大きすぎます。7.2でも、合格点とは言えませんが、あわてて薬をのまずに食事療法や運動療法でもう少し改善できないか、慎重に経過を観ていって悪くない数字だと思います。 9.7というのは極めてコントロール不良の状態で、病院ではかなり厳しい事を言われると思います。(すぐに入院を勧められてもおかしくありません)

しかし、あなたの場合、なぜこんなに変動するのでしょうか? 変動する理由として、食事の乱れ、外食が多い、運動量の変化など、さまざまな問題が隠れている可能性があります。 少なくとも、もう一歩で合格点というところまで行ける時があるわけですから、悪くなる時がなぜ悪くなるのか、しっかり原因を見つめて、良い時の状態を維持する努力をすることが大切ではないでしょうか。

この様な視点から、こまめに血糖値やHbA1cの変化をみながら、 主治医とよく相談して自分の生活を検討していく必要があると思います。

【8】 糖尿病の運動療法について

糖尿病で極端な運動療法をしている父が心配です
57歳の父は数年前に糖尿病と診断され、毎食後運動をしています。朝食を食べた後、ゴルフをしに行き、昼食後には30分間ルームランナーをします。この、ルームランナーが25歳の私がやっても相当にきつく、15分のメニューでも汗がどっと出るほどです。それを夕食後にも30分やります。本人は、食事もちゃんと計ってやっているし、心配ないと言っていますが、運動がきついせいかとても痩せてしまい、不健康にしか見えません。本人も相当ストレスが溜まっているようで、母親に八つ当たりしたりします。こういう、やり方で糖尿病は良くなるのでしょうか?
運動耐容能は個人差がありますので、簡単にはお答えしにくいですが、一般的に糖尿病の食事療法としては、激しい運動である必要はありません。もちろん、その方にとって適切な範囲でやっているのであれば、問題はありません。

しかし、不健康になるほどやせてしまうというのでは、食事の摂取エネルギーと運動のバランスが良いとはいえないでしょう。たとえ血糖値が下がっても、他の病気が出てしまっては意味がありません。

また、糖尿病のコントロールがうまくいっているかどうかは、血液検査で血糖やヘモグロビンA1C、脂質代謝などを調べたり、合併症が出ていないか様々な検査をしないことにはわかりません。ご本人が「ちゃんとやっているから心配ない」というのは、医学的にはあてに出来ません。ちゃんと検査を受けておられないのでしたら、是非検査を受けるように勧めて下さい。
血糖のコントロ-ル不良で,高血糖時の運動療法の対策について
ストレスと環境の変化とくに睡眠時間の極端な減少によって高血糖が4ヶ月位続いています。運動量も減ってしまって,悪循環です。不安ですが、このまま運動を適度にするのが,得策でしょうか?
具体的なコントロール状況などがわからないため、一般論しか言えません。

一般的には、血糖コントロールが狂い出すと、高血糖がさらにインスリン分泌の低下やインスリン抵抗性を誘導し、体内の環境がさらに悪化し、血糖コントロールもさらに悪くなるといった悪循環を招くことがあります。こうなってくると自己努力だけで悪循環を絶ちきることは困難です。 一時的に薬物療法を強化する、入院などによって食事療法を徹底する、といった治療が必要になる事が多いです。

また、コントロールが極端に悪いときに運動をすると、かえって逆効果のこともあり得ます。とにかく、信頼できる専門家に納得いくまで相談することが大切です。

【9】 糖尿病の薬物治療について

ACE 阻害薬とは何でしょうか
ACEとは、アンギオテンシン転換酵素という体内にある酵素の一種で、血圧を上昇させる働きがあります。この酵素の作用を阻害する薬がACE阻害薬で、血圧を下げる働きがある降圧薬の一種です。

糖尿病の方にとっては、他の降圧薬に比べて腎臓を守る働きが強いので、糖尿病に高血圧を合併した患者さんにはよく用いられます。 また高血圧でなくても、糖尿病性腎症が始まった患者さんに、その進行を遅らせる目的で使用することもあります。
インスリンを一度打ったら一生続けるんですか。
一般的にはその様に思われている方が多いですが、実際にはいろいろな場合があり得ます。

1型糖尿病(インスリン依存状態)の場合には、インスリンによる治療が必須となりますから、一生やめることが出来ないと考えていいでしょう。 2型糖尿病(インスリン非依存状態)でもコントロールの都合によって、インスリンを使用する場合がありますが、この場合にはコントロールの改善と共に代謝機能が全般的に安定してきて、インスリン注射が不要となる場合も少なくありません。

大切なことは、次の2点だと思います。 1)インスリン注射を自己判断でやめることは非常に危険ですので、絶対にしないでください。 2)インスリンが必要な状態に体が陥っているのに、インスリン注射をしないことは、百害あって一利なしです。むしろ、経験的には早めにインスリンを使い始めた方が、体が元気を取り戻しやすく、またインスリンをやめられる可能性が高いように思います。
インスリン治療中の彼女のために予備を持っておいてあげたいのですが
今、付き合っている彼女がI型糖尿病で、毎日のインスリン注射が欠かせない状態です、彼女が使っている注射器はペン型注射器で食前や就寝前などに注入しています。このペン型注射器は、一般向けに貸与又は、購入できないものなのですか?もし彼女が携帯し忘れていたり、インスリンが切れている時に自分が予備として一つ携帯しておきたいと思うのですがどうなのでしょう?
インスリンは医者の処方箋がないと手に入りません。携帯用の注射器も必要な人に病院から支給される形式がほとんどで、まず一般的には手に入らないと思います。ただ、彼女自身がトラブルに備えて予備を持っておきたいというのであれば、かかっている病院に相談したら、予備を渡してくれる場合もあると思います。

糖尿病の患者さんが適切な治療を長期にわたって続けられるために、周りに理解者がいてくれることは大きな力となることは間違いありません。どうぞこれからも支えてあげて下さい。
インスリン注射で言う「単位」って何のことでしょうか。
インスリン療法に用いられる注射についてなんですが、インスリンをどの本でも単位であらわすと書いてありますが、1単位は何mgのことをさすのでしょうか?それとも、何かほかの量をさすのでしょうか?
インスリンを測る方法として、グラム(例:pg/μl)やモル数(例:nMol/l)などが考えられますが、この様な単位は実験室や検査室などでしか使われていません。 患者さんに使用する薬剤の量としては、生体に対する効果を基準にした国際単位が使われます。

以前治療に用いられていたブタの膵臓から精製したインスリンなどは、ヒトインスリンとは構造や分子量が微妙に違います。また、昔は完全に純粋なインスリンを作り出すことは困難でした。このためグラム数やモル数で表示するよりも、生体に対する効果そのものを物差しにして表示した方が合理的だったと考えられます。

ちなみに、1単位は約7nmol(ナノモル)、約40μg(マイクログラム)に相当します。
インスリン治療を続けていると自分の体の中でインスリンを作ることが出来なくなりそうな気がして不安です。
糖尿病を発病後、インスリンによる治療を開始し、血糖値はだいぶ良くなってきました。注射器を紛失して5日間インスリンを打たない日がありましたが、血糖値は空腹時100-120、昼食前・夕食前もともに100-150程度で、安定していました。インスリン注射から、経口薬による治療に切り替えられないものでしょうか、他の治療方法は取れないものでしょうか、一度外からインスリンを使うと、自分のすい臓からインスリンが分泌されなくなるのではないかと不安です.
インスリン注射から経口薬に切り替えられる可能性はありますが、このデータだけで判断することは無理です。短期間ならインスリンなしで維持できるように見えても、数週間~数ヶ月の間に再び悪化してしまうケースもよくあるのです。

一度外からインスリンを使うと、自分のすい臓からインスリンが分泌されなくなるのではないかとのことですが、そんなことはありません。むしろ反対です。

血糖コントロールが悪いまま放っておくと、かえって膵ランゲルハンス島の機能が低下して、インスリン分泌が悪くなるのが普通です。そんな患者さんに外からインスリンを注射して、血糖値を下げていくと膵ランゲルハンス島の機能が回復して、インスリン分泌が増加する事がよくあります。一旦インスリン注射を始めたが、結局注射が不要になった、というケースも少なくありません。

最も一般的な経口糖尿病薬に、体内のインスリン分泌を増加させる作用があるSU薬という薬があります。インスリン注射を行うよりもSU薬に頼りすぎる方が、最後には体内のインスリン分泌能を低下させる危険が大きいと考えられています。病気で疲れた膵臓に無理をさせ続けるよりも、注射によってインスリンを補うことによって、膵臓が疲れ果ててしまうのを防ぎ、膵臓の働きを温存すると想像して頂くとわかりやすいでしょう。

このため、まだ体内のインスリン分泌能が残っている段階で早期からインスリン注射を開始する方がよい、という考え方は多くの専門医に支持されています。
インスリン自己注射を続けていると体に弊害が出るのでしょうか。
母(56歳)が1年前から糖尿病の治療としてインスリン自己注射を行なっています。他の患者さんからの話で、長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまう途中で経口投与薬に切り替えて、いずれは食事療法のみにするべきだとの情報を得まして、大変不安になっています。インスリン注射を続けると身体に弊害が出るのでしょうか?
「長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまう」などと言うことは絶対にありません。間違った情報に惑わされないように注意してください。
インスリンには副作用はありますか。
インスリンには副作用はないのでしょうか? もし副作用がないのだったら、すきなように食べるだけ食べてインスリンで血糖値を下げるという治療方針でよいような気がるのですが。
インスリンは正しく使うと非常に有益な治療法ですが、そのインスリンにも残念ながら副作用はあります。食事摂取などと、インスリンのバランスが悪いと、血糖値が下がりすぎる「低血糖」の危険があることはよく知られていますよね。 それ以外に・・・

インスリンには血糖を下げる以外の副作用として

体に脂肪を蓄積させて肥満を招く 脂質代謝に悪影響を及ぼす 動脈硬化を促進する恐れがある 血圧を上昇させる恐れがある など、様々な作用をもたらす可能性が指摘されています。

したがって、食事制限をきっちりせずに、インスリン注射だけに頼って血糖を下げると、どんどん肥満が進んで、動脈硬化を起こしやすい不健康な体質になっていく危険が大きいのです。しかし、この様な副作用は適正な食事摂取を守って、体にあった量のインスリンを注射している限り、まず問題にならないだろうと思われます。

だから、インスリン注射をする場合でも、絶対に食事療法をおろそかにしてはいけません。
インスリンの「遺伝子組換え」ってどういう事でしょうか。
インスリン注射をしていますが、ペンフィルの箱に、「この製品は、遺伝子組換えです。」と書いてありました。 遺伝子組換えというと、一時騒がれた、遺伝子組換え大豆やとうもろこしを思い出し、安全性が危惧されます。

インスリンが「遺伝子組換え」とは、どういうことなのでしょうか。安全性は保証されているのでしょうか。
遺伝子組換えの目的が違います。

もともと、インスリンはブタの膵臓から抽出したものが使われていました。 同じインスリンとはいっても、ヒトとブタでは若干構造が違いますから、アレルギーの原因になったり、効果が100%でなかったりといった 問題点がありました。

安全性を高めるためには、ヒトの体内に元々存在しているインスリンと同じ構造のものが望ましいのですが、ヒトの膵臓からインスリンを集めるわけにはいきません。そこで、遺伝子工学の技術を用いて、酵母などにヒトのインスリンと同じ構造のものを作らせ、そこから抽出をしています。これが、インスリンにおける「遺伝子組換え」です。

大豆やトウモロコシの遺伝子組換えは、害虫や病気に強くなるようにもともとは存在しなかった成分を作らせるように遺伝子組換えを行い、それらをそのまま食べるものですから、新たに作られた成分による副作用が気になりますが、インスリンの場合は、酵母などが作ったヒトのインスリンを抽出・精製して製剤として使うので、遺伝子組換え技術を利用する目的が違うのです。

現在では、一部構造が異なるインスリンを作らせた超速効型、持効型といった作用時間の異なる製剤も使われています。これらは治験などで安全性の基準を満たした場合にのみ使われるようになっています。発売後も、通常の医薬品と同様に、臨床研究などで効果や副作用についての検証が行われています。
ベイスンを飲み始めてから、少し上がってきて心配です。肝機能の値と意味を教えて下さい。
ベイスンの副作用に肝障害があります。GOT,GPT,ALP,γGPT などが肝機能の代表的項目です。ベイスンを始めてからこれらの数値があがってきているようであれば、薬をつづけるかどうか主治医の先生に相談して下さい。

【10】 生活・人生の様々な場面と糖尿病

糖尿病妊婦の胎児に及ぼす影響を教えて下さい。
糖尿病の女性が妊娠した時に胎児にどのような影響を及ぼすか、それとも何の影響も及ぼさないか詳しくしりたいです。
血糖コントロールが不良のまま妊娠した場合、胎児に先天性の異常が生じる危険が高くなります。また、胎児への安全性を考えると、糖尿病コントロールのために用いられる経口薬よりはインスリン注射の方が、望ましいと考えられます。

従って、糖尿病がわかっている患者さんが妊娠を希望する場合は、事前に(必要なら)インスリン治療を開始して、血糖を厳しくコントロールしてから、計画的に妊娠するように持っていきます。

妊娠後に糖尿病がわかった場合、妊娠の負担によって糖代謝が悪化した古典的な意味での「妊娠糖尿病」ならば、もともと糖尿病があってコントロール不良のまま妊娠した場合に比べて、胎児への悪影響はかなり少なくなります。しかし、その後のコントロールをきちんとしないと、胎児の発育不全や、巨大児など、やはり悪影響は考えられます。
弟が「糖尿病の疑い」といわれ、今後のことが心配です。
私の弟のことで相談がございます。私の母方の家系は糖尿病の家系で、実際私の母親も糖尿病を患い現在通院しております。弟は先日就職試験の、健康診断で糖と蛋白が出ていると診断されました。弟の体のことも心配ですがこれからの就職など条件的に不利になってしまうのでしょうか?
尿に糖が出たからすぐ糖尿病と診断されるわけでもありませんし、尿に蛋白がでたからといって直ちに腎臓疾患があるというわけでもありません。しかし糖尿病で尿糖があり、腎臓病で尿に蛋白がでることも普通にみられます。したがって、今の健康状態をはっきりさせることが大切でしょう。

糖尿病患者さんの就職にも何度か関係した経験からいえば会社によって対応が全くことなるとしか言えません。尿糖がでていても主治医の診断書などで、糖尿病としてきちんと治療していることがわかれば良い会社や尿糖がでているとハンディになる会社もあるようです。この意味でも医療機関で一度きちんと検査をうけるのがよろしのではないでしょうか。
風邪薬について。
半年前に糖尿病と診断されて以来、薬は飲まず、食事と運動で血糖値をコントロールしています。さて,このたび風邪をひいてしまい、とりあえず市販の風邪薬を飲もうと思います。なにか注意することはありますか?また,避けた方が良い風邪薬などあったら教えてください。
風邪をひいた場合などは、ふだんよりも血糖値が上がりやすく、 コントロールを乱しやすいので、注意が必要です。 ふだん、全く問題なくコントロール出来ていた患者さんが、風邪を こじらせたためにコントロールが悪化し、危険なほどの高血糖になって 緊急入院になってケースも少なくありません。

体調が悪い場合は、血糖値などをふだんよりもきめ細かくチェックする ことが必要です。 風邪薬の選択については、食事療法と運動療法だけで良好にコントロール出来ているのでしたら、 糖尿病をもっていない人と変わりありません。
喫煙について
私は今年の八月に1型の糖尿病だと診断され、禁煙するように言われたのですが禁煙すると口が寂しく間食に走ります。そこで今は急にはやめれないと思いニコチンやタールが軽いたばこに変え本数も今までは一箱以上吸っていたのを10本くらいに変えたのですが、やはりこれでは意味がないことなのでしょうか。
無意味とまでは言いませんが、これで大丈夫とは決して思わないでください。

たばこは極めて強力な、動脈硬化促進因子です。経験的には、糖尿病性足壊疽という合併症をおこして、足を切断しなければ ならなくなった患者さんの殆どはたばこを止められなかった方のような気がしま す。

軽いたばこ10本でも、全く吸わないのと比べると非常に大きな差があります。さらに、ニコチンの少ない「軽い」たばこを吸うと、「きつい」たばこに比べて かえって一酸化炭素などの有害物質が血中に増加するというデータがあります。(軽いたばこは深く吸わないと満足感がないためかもしれません)

節煙ではなく禁煙できるように是非がんばってください。
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