日本糖尿病協会

TDJ活動レポート

2008湘南国際マラソン大会レポート 涙と雨の湘南海岸

Last Update:2008年11月1日

TDJ活動レポート 2008年11月

2008湘南国際マラソン大会レポート 涙と雨の湘南海岸

5時間を切るぞー、と意気込んだ5回目のマラソンでした。昨年のホノルルマラソンでは5時間8分と5時間を切れなかったので、今年は5時間切りを目指して1月からlong slow distance (LSD)、筋トレに励んできました。しかし、10月に入って1回の走り込みを25km、30kmと増やした頃から右膝が痛くなり、走った後数日休むと回復するものの走るとまた痛くなり、さらに不安なことに回復までの時間が延びてきていました。1週間前には25km走の練習をするつもりでしたが、ひざの痛みのため15kmで中止、前日まで棄権するかどうかだいぶ悩みました。今回は1型糖尿病患者のTさんが一緒に走ってくださるので心強いし、悪ければ途中で棄権すればよいのだから行くだけいこうと心に決め、11月16日、日曜日の夜中2時半に起きて、5時の始発電車で大磯に向かいました。同行したEさんが交通手段を考えてくださったので混雑にもあわず無事会場に到着しました。

大磯に着く少し前から雨が降り出し不安が募ってきましたが、TEAM DIABETES JAPAN (TDJ)の神奈川や青森のメンバーと合流し、気持ちを高めながら支度を始めました。参加者が2万人を超えたこともあり、整列を始めてもなお、会場に向かう人並みが続いていました。小雨の中9時にスタートをし、1km7分弱の予定通りの速さで走り出しました。せめて半分くらいはひざ痛が出ないでもってくれという願いもむなしく、最初から右膝痛が出現しました。このコースで行われた春の30kmレースでは右足の痛みをかばって左足に負担がかかったフォームで走ったため28kmから左足がつり歩くもままならず苦しい思いをしました。たぶんフォームは崩れていたと思いますが、自分ではひざの痛みにとらわれて左足を引きずるようなフォームにならないよう注意を払いました。途中、沿道の子供たちがTDJのシャツをみて、「富士山がんばれ!富士山がんばれ!」と応援してくれました。また大磯駅前では今回走らなかったTDJメンバーの大津先生がTDJの青いのぼりをもって応援してくれました。隣を走っているTさんやEさんもこまめに声をかけてくれました。12km位からは体も少し温まって膝痛も和らぎ調子よくなってきました。なんとか走りきれるかも、走りきりたい、と思ってきました。

江ノ島の折り返しでは、のぼりをもって移動してくれた大津先生に手を振り、Tさんがもってきてくださったレモンの蜂蜜漬けを食べて元気を出しました。ペースが少しずつ落ちだしましたがこらえて30kmまではほぼ予定通りの時間で来ました。ところが30kmをこえると膝痛がまたぶり返し、ペースも1km7分40秒から8分と急に落ち、かなりつらくなってきました。膝痛のため、30km走などの長い距離の走り込み練習が十分出来なかったためでしょう。スタミナも切れてしまいました。となりのTさんが「がんばりましょう、1,2、わっしょい」と声をかけてくれますが、3回に1回くらいしか「わっしょい」と声を返せません。「歩こうかな、止まろうかな、棄権しようかな」という思いと「ここでとまったら二度と走り出せないだろう」という思いがかけ声のたびに交錯しました。普段みてもらっているトレーナーさんに「マラソンは弱いところに合わせざるを得ない」と言われていましたが、「今回の弱いところは右膝、しかし最初から痛い、となると強い方の左足に合わせよう、左足がつるまでは走れるはず」という思いがぐるぐると頭の中を駆けめぐっていました。このコースは富士山と江ノ島をみながら湘南海岸を走る、というふれこみでしたが、お天気も気分もそれどころではありませんでした。ゴールの大磯ロングビーチが見えてからの第二折り返し5kmはフォームもめちゃくちゃ、泣き泣きでしたがなんとか足がつらずゴールできました。5時間18分でした。ゴール直後には足がつりそうになりましたが、なんとか持ちこたえ、打ち上げ会場の温泉にたどりつき、乾杯のビールのなんとおいしかったことか。

今回は走りきることが出来ましたが調整の難しさを感じました。今後棄権をせざるを得ない時もあるでしょう。走りきるがまんより棄権する勇気のほうが難しい気がします。調整、筋トレ、練習方法と合わせ今後の課題です。今回は大勢の皆さんにサポートしていただき完走できました。あんなにつらかったのに、泣き泣き走ったのに、ゴール後には足を引きずりながら、次は何処の大会にでようか、どうやって楽に走れるようにトレーニングしようかと考えている自分が不思議でした。一緒に走ったTさんが、「マラソンは一人でも楽しい、二人でも楽しい、みんなでも楽しい」と言われましたが、一人でしっかり走りきれるようになり、たまには誰かを助け、「一人でも楽しい、みんなでも楽しい」マラソンを続けたいと思いました。


あらいクリニック 院長 新井 桂子

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