日本糖尿病協会

TDJ活動レポート

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010年10月17日 第39回タートルマラソン全国大会

Last Update:2010年10月1日

TDJ活動レポート 2010年10月

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010年10月17日 第39回タートルマラソン全国大会

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010・10・17荒川タートルマラソン

私は、現在48歳で、1型糖尿病は30歳の93年に発病しました。発病以来17年が過ぎましたが、ハーフマラソンに参加出来たことができることがうれしく思っています。

子どもの頃から運動が苦手で大嫌いでした。そのため、発病し、より運動が億劫になり、歩く以外の運動は発病後10年間ほとんどやっていませんでした。そんなことをしているうちに40歳を過ぎると身体のあちこちに不調がでてきました。四十肩、腰痛、足底筋膜炎、腱鞘炎と1年間の間に次々とどこかに痛みを感じます。

ちょうど不調の連続だった4年前、近くにジムができるので、日頃の運動不足をみかねた妻が一緒に入会をしてみようと勧めてくれました。最初は自転車をこいだり、ストレッチ中心のレッスンに出ていたのでしたが、半年後エアロビクスのレッスンに参加、老若男女楽しそうにされているので、自分も覗いてみたのが、マラソンへの第一歩になりました。ジムはそれからずっと続いており、エアロビクスは最低週2回行くようになっています。おかげで、糖尿病の方もここ10年でいろいろなタイプのインスリンも登場したこともあり(超速効型や持続型)、HbA1cも7%台から6%後半を維持できるようになりました。

2年前、ジムだけでなく自分の足で歩くことが不足していると感じ、いろいろなウオーキングに参加もはじめ、ついにジョギングをはじめることになりました。最初は、近くのジョギングコース2キロを1周するのもヘトヘトでした。励みのため、3キロの大会にエントリーし、遅いながら(自分では必死でした)も完走出来たことが、自信につながりました。3ヶ月後は5キロの大会にも出られるようになりました。昨年はさらに距離をのばし10キロを走り、そして今年はハーフに挑戦しました。私が、最初にTDJを知ったのは今年の1月号の「さかえ」でした。もう少しTDJの存在を早く知っていたら、発足当初からもっとみなさんと交流できたのですが、遅まきながら「No Limit」の精神に共感し、今はTシャツを着て走っています。

ジョギングをはじめたのと同時に、食事療法にカーボカウントを取り入れ、HbA1cは6%前半に落ち着き、また、発病以来増加傾向だった体重も7キロ減の67キロとどんどん調子がよくなってきています。また、今年の8月からはCSII(インスリンポンプ)療法に治療を変更しました。発病当時は血糖コントロール中心の生活でしたが、最近は多くの治療法もあり気持ちの上でゆるやかに生活できるようになってきました。

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010・10・17荒川タートルマラソン さて、今回のタートルマラソンですが、初めての関西を離れた大会で、初めての宿泊を伴ったマラソンで、初めてのハーフを走りました。初めてづくしで不安なことも多かったのですが、TDJで糖尿病をわかっておられる方が多く参加しているので安心して参加出来ました。当日は7時前に起床、ホテルで朝食をとります。レース前は血糖値を200以上にするので、ボーラスインスリンは平常より2単位減らしました。ところが、カーボ計算を間違えたためレース1時間前の血糖値が72と予定より低く、このままではレース直後に低血糖です。ちょうど、TDJ関西でお世話になっている井田先生もおられ血糖値を確認してもらいました。また、近くにおられたみなさんも声をそろえて「低い」のひとこと。すぐにスポーツドリンク、ビスケットを補給し30分後再測定、でも120程度です。最後は、ブースにあったブドウ糖ゼリーを20g頂きました。本当に助かります。

また今回、このHPにもレポートされている1型のTさんにアドバイスをもらいました。Tさんはフルマラソンを何回も完走されておられるため、初ハーフの私にとってレース中の血糖測定や測定器具をどうするかなど、たくさんのことを聞かせて頂きました。

さあ、レースがはじまります。インスリンポンプのべーサルインスリンを通常の50%で3時間設定しレースに臨みました。(3時間で完走の予定)

スタートラインに並ぶと荒川の河川敷はハーフだけで9000人以上、10キロ、5キロ、2キロとウオーキングをあわせると1万4000人がエントリーで、スタート地点が見えないほどのすごい列です。自分が今まで出場した関西の大会とは比べものにならないくらい人でいっぱいです。TDJの皆さんはスタートを前方に位置取られましたが、不安がいっぱいで完走出来れば十分の私は相当後方からスタートしました。「よーい、どん」のピストルの音は聞こえましたが、私の付近は1分たち2分たっても全く動く気配がありません。前方ではスターターの千葉真子さんの「がんばって」という声が聞こえてきます。6、7分が経ちやっと前に歩き出しました。スタートラインを超えられたのは9分近く経っていました。折角スタートしたのですが、スタート付近では千葉真子さんとみなさんハイタッチしておられ、私も便乗してハイタッチです。ところがこの効果で、レース前の緊張はほぐれ、リラックスして走り出せました。

最初の1キロはいつもようにゆっくり入りますが、今日は予定より30秒ほど速いです。自分にゆっくりゆっくりと言い聞かせながら、2キロ、3キロと進みます。天気予報は雨という予報でしたが、当日になって曇りにかわり、暑くもなく寒くもなくマラソンにとっては最高のコンディションです。中盤に入り、ときどきお日様が顔を覗かせます。マラソンには暑さは大敵、「曇ってくれ」とつぶやきながら、4キロの給水。少量の水と体温を下げるのに頭から水をかぶります。当初心配した低血糖はこの時点では起こっていないようです。反対に直前に摂取したブドウ糖などで高血糖も心配していましたが、インスリンポンプのおかげで少量ながらインスリンは補給されているので、大丈夫のようです。

これまでは10キロのレースが最長でしたので、6,7キロが正念場でした。しかし、今回は7キロで3分の1です。まだまだ、完走出来るという自信は持てていません。一番このあたりがレース中で長く感じました。ペースはスタート時とあまり変わっていません。気が付くと私の前にTDJのTシャツの方がおられます。「頑張って」と声をかけお互いの完走を目指しました。ちょうどこのあたりから折り返しから帰ってくるトップ集団と出会い出しました。9キロくらいでしょうかTDJトップの井田先生と出会います。さすが早い。その後、青森の木村先生ともすれ違い、10キロを超えるとアドバイス頂いたTさんをはじめ、多くのTDJの方とすれ違い声を掛け合いました。

私もようやく折り返し、ペースは最初とあまり変わっていません。10キロを超え、ここからが生まれて初めて走る距離です。15キロ超えたくらいから突然、走れなくなるということも聞くのでペースを維持しながらさらに進めました。

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010・10・17荒川タートルマラソン 16キロを超え、あと5キロになりました。後でスタートされた10キロやウオーキングのメンバーを追い越すこともあり、「頑張って」というかけ声をかけます。かけ声をかけると、不思議と自分も元気をもらえます。また、沿道では、中学校、高校のブラスバンド部や私設の応援などなど・・・これもまた元気をもらえます。

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010・10・17荒川タートルマラソン 残り3キロ、やっと完走出来る見通しがでてきました。ちょっと欲も出てきて、ラストスパートをしたくなってきます。なんとか、2時間20分を切りたいという気持ちになりました。そのためには、少しペースをあげなければなりません。そのペースではさすがに苦しい。残り1キロ、最後の力を振り絞って、前に進みます。ゴールが見えてきます。TDJの旗も視界に入り、最後のふんばり。ゴール。自分で「やった」と言っていました。記録は2時間20分と少し、あと数秒足りませんでしたが、初ハーフの完走は、本当にうれしかったです。ゴール後、井田先生に出迎えてもらえ、皆さんの支えで、苦しい中にも楽しさのたくさんあるマラソンになりました。

ゴールをして戻ったときは、皆さんからこんなに早くゴールできるとは思ってなかったよといわれ、予想外の健闘かなと自分で自分をほめたいくらいでした。2年間の継続したトレーニングが、自分にとってはかけがえのない自信という成果になりました。レース後の血糖値は130で、当初の不安は嘘のようでした。たぶん一人ではここまでやれなかったでしょうし、これも、TDJのみなさんと一緒に走れたおかげだと思っています。

初めてのハーフマラソンに挑戦 2010・10・17荒川タートルマラソン 最後にTDJの皆さんと記念写真を撮り、今回であった1型のTさんとは、また来年の再会も約束し、充実した1日が終わりました。そして、次はフルマラソンに挑戦という目標で、自分にとっての「No Limit」はまだまだ続きます。


(1型患者 T)

このページの先頭へ