日本糖尿病協会

月刊誌「さかえ」

月刊糖尿病ライフ さかえ

Last Update:2008年7月1日

さかえバックナンバー 2008年07月号 【 情報を見る眼力 】

インターネット情報の注意点

インターネットで情報を発信しているホームページなどのひとまとまりを「ウェブサイト(サイト)」と呼びますが、サイトの運営主体は、行政機関、医療機関・研究機関や学術団体・患者団体などの非営利団体(日本糖尿病協会もこれに含まれます)、個人や任意団体、そして営利企業など多岐にわたります。これほど数多くの個人や団体によって、サイトが運営されているのはなぜでしょうか。
ほんの十数年前、黎明(れいめい)期のインターネットは、大学や研究機関を結んだネットワークから発展しました。そのころは、筆者が「オンライン糖尿病教室」などを公開していた京大病院病態栄養部(現在の糖尿病・栄養内科)のサイトを含め、ほとんどのサイトが研究者の技術的興味によって運営されていました。その後短期間のうちにサイト数やその情報量が飛躍的に増えた最大の理由は、それが経済的利益につながったからでしょう。好奇心やボランティア精神で運営されているサイトは現在でも数多くありますが、「疲れた」「飽きた」などの理由で更新頻度が徐々に落ちていき、いつしか低迷期を迎えるサイトが多いようです。しかし、その活動に経済的な見返りが伴うと、企画力や持続力が大きくパワーアップすることは容易に想像できます。つまり、営利企業のサイトは発展を続けやすいのです。
営利企業の運営するサイトを否定するつもりは毛頭ありません。多くの製薬会社のサイトには、たっぷりコストをかけたすばらしいページがあり、個人はもとよりほとんどの研究機関にとっても、まねできるものではありません。さらに最近では企業イメージアップを狙ってか、宣伝色を排した患者さん向け情報も多く発信されており、そのようなサイトは非常に利用価値が高いと思います。
注意すべきは、非営利で医学情報を発信するふりをしながら巧みに商品購入に誘導するようなサイトで、健康食品などの通販業者によくみられます。そのようなサイトでは多くの場合似非(えせ)科学の手法が用いられており、また情報発信者が誰であるのか分かりにくい構成で、ときには営利目的であることを隠すためにNPO法人を名乗っていることさえあります。商品販売が目的であれば「○○の販売を促進するためにその効用を解説している」ということが分かりやすいように構成するべきだと思いますし、実際に良心的なサイトではそうなっています。
さて、健康食品に関する情報を見極めるうえで役立つサイトを一つご紹介しておきましょう。独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報(http://hfnet.nih.go.jp/)です。有益な情報がいっぱいありますが、アクセスしたらまず最初に、「基礎知識」のなかから「科学的根拠のある情報とは?」を読むことをお勧めします。


かぎもとクリニック 鍵本伸二

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