Last Update:2021年12月13日
2021年 Vol10. No.2(第44号)
2021年8月28日発行
特集

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特集
糖尿病治療とポリファーマシー
近年の糖尿病治療に関連する薬剤の進歩には目覚ましいものがありますが、その半面、血糖改善のためだけでなく、血圧や脂質管理のための内服も必要になる場合が多く、そのことが処方薬剤数の増加や服薬、注射方法の複雑化をもたらしています。そしてそれは高齢糖尿病患者の増加と併せてアドヒアランスの低下や残薬の増加など、ポリファーマシーの原因となっています。その解決策の1つとして最近、インスリンを含む注射薬の配合剤や週1回製剤が登場し、治療の選択肢が充実してきていますが、これらの薬剤の使用には利用方法や注意点に対する理解が不可欠です。本特集が糖尿病の治療におけるポリファーマシーについての理解や解決のための一助になれば幸いです。
(新小倉病院糖尿病センター 藤本良士、新潟薬科大学 朝倉俊成)
糖尿病の薬物療法の現状と多剤併用について
千葉 優子(東京都健康長寿医療センター)…7P
地域連携で解決するポリファーマシーとその対応策
篠原 久仁子(薬局恵比寿ファーマシー)…13P
経口糖尿病薬の配合剤と週1回製剤の特徴と使用法
内田 信也(静岡県立大学)…18P
新たな注射製剤が登場!
~注射の配合剤と週1回製剤について~
渕上 彩子(東邦大学)…25P
血糖降下薬以外の配合剤・週1回製剤の利点と注意点について
大庭 和人、荒木 厚(東京都健康長寿医療センター)…30P
残薬調整ならびに適正処方のための節薬バッグ運動について
~九州大学と福岡市薬剤師会の連携事業~
島添 隆雄(九州大学)…35P
連載「地域発! 糖尿病療養指導士の活動報告」
全国初のCDEL誕生の地!
「北九州CDEの会」22年目の歩みFROM 北九州
木村 久美(医療法人真鶴会 小倉第一病院)…38P
連載「地域発! 糖尿病療養指導士の活動報告」
全国初のCDEL誕生の地!
「北九州CDEの会」22年目の歩みFROM 北九州
福岡県北九州地区(本会では北九州市、中間市、遠賀郡、京都郡、築上郡、行橋市、豊前市としています)では、全国に先駆け1996年に北九州糖尿病療養指導士認定制度を設立し、翌年、日本で初めての地域糖尿病療養指導士(CDEL)が誕生しました。1999年には糖尿病療養指導士(CDE)の育成と能力の向上を目指し、糖尿病患者さんへの正しい知識および技術の普及・啓発を図ることを目的に「北九州CDEの会」が発足しました。
今年で22周年を迎える本会の会員数は、現在458名です。昨年度はCOVID-19の感染拡大防止対策の影響で本会も全ての行事や認定のための研修会が中止となりましたが、例年は市民を対象とした「まちかど糖尿病教室」をショッピングモールで開いたり、「市民糖尿病フェスタ」を開催したりしています。市民糖尿病フェスタは、これまで48回も行っており毎年好評です。そのほかにも様々な行事や研修会を行っています。
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」 皮膚科
皮疹の因数分解による糖尿病関連皮膚疾患の見つけ方
北島 康雄(社会医療法人厚生会木沢記念病院 皮膚科、岐阜大学名誉教授)…44P
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」 皮膚科
皮疹の因数分解による糖尿病関連皮膚疾患の見つけ方
糖尿病関連の皮膚疾患は比較的よく遭遇します。HbA1c が高値であるとき皮疹が出現し、正常値に近くなると治癒してくることから、糖尿病が直接何らかのメカニズムで発症に関与していると推察できます。このような疾患を見逃さないようにするにはどうしたらいいでしょうか。糖尿病関連皮膚病変の見つけ方の考え方をまとめると次の3 点になります。
1)糖尿病患者もありふれた湿疹・皮膚炎群、じんま疹、虫さされ、水虫にかかります(皮膚科外来の約50%)。これらのコモンディジーズは患者自身、皮膚科医以外の医療従事者もしばしば診断・治療することになるので、皮膚科コモンディジーズをまず理解して鑑別することが必須です。
2)糖尿病に特徴的な皮膚疾患と、それに酷似した他のまれな皮膚疾患があります。糖尿病患者を診察する際には診断にバイアスが掛かりやすいです(糖尿病が原因ではない皮膚疾患を糖尿病性皮疹と診断し思考の停止に入ることが多いです)。
3)糖尿病患者の皮疹の診断と治療において常に完璧を求め、その1つとして皮膚科医に相談し、より専門的な診察を行ってもらい、患者が受けている診断と治療を確認することが必要です。
糖尿病患者の皮膚疾患の診察では、まずは皮膚科のコモンディジーズの可能性を疑い、それを否定したときに糖尿病患者によく見られる皮膚疾患の可能性を考えます。本稿では皮膚科のコモンディジーズの皮膚疾患の解説と糖尿病性皮膚疾患について図説的にまとめました。
連載「糖尿病診療update」
糖尿病とこころ
小江 奈美子(京都大学医学部附属病院)…54P
連載「糖尿病診療update」
糖尿病とこころ
新型コロナウイルス感染症の拡大予防の取り組みから3密(密閉・密集・密接)の回避が言われています。このことによって、社会背景も変化していると感じています。オンライン診療、ステイホーム、オンライン会議など、人と接する方法も変化しました。人と人の関わり方が変化していく時代の中で、こころの問題が社会問題となることもありました。ここでは糖尿病とこころに焦点を当て、看護師の役割を考えてみたいと思います。
症例クイズ
脱!ヒマ肥満(外出自粛時の運動療法)
北村和也(北播磨総合医療センター)…59P
インフォメーション
日本糖尿病協会 動画シリーズ…表2
糖尿病患者さんの食事療法を支える冊子…53P
日本糖尿病協会の講習会のお知らせ…61P
「腎機能チェックツール」のご案内…62P
日本糖尿病協会 療養グッズのご案内…表3
次号予告/編集後記/購読確認票…64P
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