2019年 Vol8. No.1(第34号)
2019年5月28日発行
特集

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特集
地域包括ケア
超高齢社会となったわが国の糖尿病診療・療養指導は、患者さんの生活の場である自宅・地域の中での活動が重要です。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、「地域包括ケアシステム」の構築が求められています。その際には、医師以上にコメディカルや介護福祉スタッフの働きが大きなウェイトを占めます。本特集では、これからの糖尿病治療・療養指導を考えるうえで避けて通れない「地域包括ケア」について、様々な分野の先生方に執筆をお願いしました。読者のみなさんそれぞれの地域での活動の参考になれば幸いです。
(NTT東日本関東病院 糖尿病・内分泌内科 林 道夫)
地域包括ケアシステムについて
迫井 正深(厚生労働省 大臣官房審議官)…7P
地域包括ケアと地域医療
酒寄 享(品川区医師会/酒寄医院)
藁谷 藍子(品川区医師会)…15P
地域包括ケアと介護
菅井 佐代子(こころね居宅介護支援事業所)
奥 公明(松江赤十字病院)
佐藤 利昭(松江赤十字病院)…20P
急性期病院における地域連携の実際
― 糖尿病患者を中心に―
宗川 千恵子(NTT東日本関東病院)…26P
ときどき入院 ほぼ在宅
~地域包括ケア病棟における糖尿病診療・療養指導の実際~
大野 耕平(公立学校共済組合関東中央病院)…32P
「食べること」からみる地域包括ケアと多職種連携
羽根 司人(日本歯科医師会地域保健委員会/はね医院)…38P
連載「地域医療の現場から」
金沢市北西部における糖尿病診療病診連携の歩み
―4病院と診療所との連携について―
瀬田 孝(石川県済生会金沢病院 糖尿病・内分泌内科)…44P
連載「地域医療の現場から」
金沢市北西部における糖尿病診療病診連携の歩み
―4病院と診療所との連携について―
私は、ある糖尿病の患者さんからこんなことを言われました。「私は血糖を下げる薬をたくさん飲んでいるのに、血糖値は正常にならないのですね」。また、別の患者さんからは「私はインスリンを毎日4回も打っているのに、血糖値は正常な人と同じにならないですね」と。
昨今は経口血糖降下薬の種類も増え、インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬の注射製剤も多種類上市され、治療薬の選択肢が増えてきています。それにもかかわらず正常血糖値を達成できていないのが現状です。やはり、食事療法や運動療法の実行、体重の適正化を図ることも非常に重要な治療法となるわけです。また、多くの糖尿病患者さんを地域ぐるみで病院と診療所の医師とメディカルスタッフが協働して治療していかなければ、合併症の発症・進展を阻止することはできないと考えています。
今回、当院での糖尿病診療について、および金沢市北西部糖尿病地域医療研究会(NOWDMネット)の取り組みについて紹介したいと思います。
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」
がん薬物療法と糖尿病・耐糖能異常
内野 慶太(NTT東日本関東病院 腫瘍内科)…50P
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」
がん薬物療法と糖尿病・耐糖能異常
日本人の2人に1人が生涯でがんと診断される時代です。がん患者さんの8~18%に糖尿病が合併しているとの報告もあり、がん薬物療法を扱う我々腫瘍内科医における診療において、糖尿病・耐糖能異常の評価・管理は、治療の有用性向上にあたって重要となります。
一方、糖尿病患者さんでは、多くのがんでその発症リスクが上昇することも知られており、「加齢」「低身体活動」「喫煙」「不適切な食事」「過剰飲酒」など糖尿病とがんの共通のリスク因子を念頭におきながら患者管理や啓蒙を要することから、「診療科横断的疾患」という点で、糖尿病とがんに関わる医療者は知識や見識をより密に共有するべき関係と考えています。
近年のがん診療の領域では、がん薬物療法の進歩により、治癒や、生存期間延長を望める病態・病状が多くなり、治療前の糖尿病の評価、治療中の管理、また治療中・後における糖尿病・耐糖能異常の発症に留意する必要性が出てきています。
連載「糖尿病診療update」
糖尿病足病変を繰り返させない靴の選び方とインソール
大山 貴裕(NTT東日本関東病院 リハビリテーション科)…55P
連載「糖尿病診療update」
糖尿病足病変を繰り返させない靴の選び方とインソール
当院では、糖尿病足病変に対して早期対応ができるようフットケアをチームで実施しています。チームでの理学療法士の役割は、靴選びの指導やオーダーインソールの作製です。
足病変を繰り返させないための靴としては、必要な機能が備わっていて、調整具があり、底に厚みのあるウォーキングシューズやスニーカーをお薦めします。また、先が硬い靴を履く場合は、つま先形状と靴の形状が適合している靴をお薦めします。つま先の余りは、10mm~15mm程度になるようにします。できるならば、足の測定をして、適合した靴をお薦めすることが理想的です。
当院の足病変に対するインソールは、従来からある足型をとるだけの作製ではなく、静的評価と動的評価を用いて作製します。特に歩行に注目して、荷重のかかり方や筋肉の使い方が変化するように作製することで、歩行時の除圧や圧力分散を可能にします。
インフォメーション
第7回 日本糖尿病療養指導学術集会のご案内…1P
日本糖尿病協会の医療者向け講習会 2019年度の開催予定…49P
DM Ensemble 年間購読申込書…64P
糖尿病療養指導 鈴木万平賞 推薦募集のお知らせ…表3
次号予告/編集後記/購読確認票…62P
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