2018年 Vol7. No.3(第31号)
2018年11月30日発行
特集

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特集
高血圧治療における減塩指導・支援のあり方
糖尿病患者の半数以上は、高血圧を合併しています。糖尿病の致死的合併症である心血管疾患は血糖コントロールのみでは有意に抑制できず、脂質異常症とともに高血圧の治療が極めて重要です。薬物療法についてはほぼ確立しているといってよい状況ですが、まだ降圧が不十分であるとの指摘もあります。米国で公表されたACC/AHA高血圧ガイドライン2017では、高血圧の基準値が130/80mmHgに引き下げられ、我が国におけるJSH2019への影響が注目されています。今回の特集では、降圧治療の基本に立ち返り、減塩に論点を絞りました。日本人においては特に減塩効果が大きいと考えられますが、改めて減塩効果のエビデンスについて整理し、なかなか守られることが困難なこの生活習慣に対する介入方法を探ります。
(東京山手メディカルセンター 糖尿病内分泌科 山下 滋雄)
糖尿病における高血圧治療ガイド
植木浩二郎(国立国際医療研究センター研究所)…7P
高血圧治療における減塩の重要性
小田原雅人(東京医科大学)…10P
塩分摂取の評価と減塩指導のコツ
―日常生活で可能な塩分摂取量の評価方法と、食事による塩分摂取を適正化するための指導・支援のコツ―
加藤則子(加藤内科クリニック)…14P
塩分(Na)が関係する高血圧に対する利尿薬および減塩の効果
竹内裕紀(東京薬科大学)…19P
療養行動を継続してもらうための支援
~実践の場で活用していきたいこと~
多田由紀(JCHO東京山手メディカルセンター)…24P
おいしく楽しむ減塩レシピ
中尾矢央子(医療法人 上ノ町・加治屋クリニック)…28P

家庭での血圧測定について
夏目久美子(岡崎市民病院)…31P
連載「地域医療の現場から」
岐阜県における糖尿病医療・介護連携の現状と未来像
堀川幸男(岐阜大学)…38P
連載「地域医療の現場から」
岐阜県における糖尿病医療・介護連携の現状と未来像
岐阜大学医学部附属病院の糖尿病代謝内科は、岐阜県糖尿病対策推進協議会1)の中心的診療科であり、県内の糖尿病の病診連携やチーム医療を推進させています。病床数は24床で主に専門医療や教育入院をクリニカルパスに則って実施しており、持続血糖測定(CGM、FGM)、インスリン導入(SAP)、フットケア、合併症治療などを、学会認定の専門医・指導医と日本糖尿病療養指導士(CDEJ)が関連診療科と連携してチーム医療を実践しています。
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」
長期療養時代のHIV感染症と糖尿病
~針刺し事故対応も含めて~
関谷綾子 福武勝幸(東京医科大学)…46P
連載「糖尿病をめぐる診療科リレー」
長期療養時代のHIV感染症と糖尿病
~針刺し事故対応も含めて~
1980年代に問題となった薬害エイズを知らない若い世代が増えつつある昨今、HIV感染症の感染経路の多くは性感染症によるものとなった。当科は、血液凝固学を1940年代の創設当時から専門とし、血友病の治療に用いた血液凝固製剤によりHIV感染症の伝播を招いた経緯からHIVの研究・診療を積極的に行っている。現在、当院にはHIV感染者は年間約1300~1400名程度の通院患者がおり、その2割以上が50歳以上になった。時代を遡ること1996年、HIV感染症の治療はいくつかの種類の抗HIV薬を組み合わせる多剤併用療法(Combination Antiretroviral Therapy:以下cART)が考案されスタートした。その後もcARTは著しく進歩し、HIV感染症は長期予後が見込める疾患になった。まさしくHIV感染症は長期療養時代に入ったと考えられる。世の趨勢を受け、2016年に米国糖尿病学会は糖尿病診療ガイドラインにHIV感染者について新たな項を作成した。糖尿病の治療薬が様々な新薬の登場で変容の時期を迎えているのと同様、cARTは1日1錠の内服で完結できるSTR(Single Tablet Regimen)が上市され、そしてこのSTRは新規にHIV感染症が診断された際のファーストレジメンの選択肢の1つに入るという進化を遂げた。HIV感染者の予後が改善した現在、HIV感染者は健常人に比し心血管イベントが多いとの報告がある1,2)。HIV感染者は非感染者同様に、あるいはそれ以上に生活習慣病に留意が払われ動脈硬化性疾患に取り組むべき、となったのである。本稿ではHIV感染症と糖尿病について述べていきたい。
連載「糖尿病診療update」
Clinical Inertia
―臨床における惰性
石井均(奈良県立医科大学)…52P
連載「糖尿病診療update」
Clinical Inertia
―臨床における惰性
Clinical inertia̶failure of health care providers to initiate or intensify therapy when indicated.1)
臨床の場における惰性とは、医療者が適応とされる治療を開始あるいは強化しないことである。
Phillips LS: Ann Intern Med 2001;135:825-834.
連載「糖尿病診療update」
糖尿病腎症を有する患者の糖尿病治療薬の適正使用
佐藤伸輔(東北医科薬科大学)…55P
連載「糖尿病診療update」
糖尿病腎症を有する患者の糖尿病治療薬の適正使用
糖尿病患者は、高血糖の状態が持続することで細小血管障害や大血管障害などの合併症を発症する危険性が高くなる。その中で糖尿病腎症について考えると、既に発症している患者に対して腎機能に応じた投薬量を管理し、適正使用することは効果的で副作用の少ない治療の提供につながる。このためには、薬の専門家である薬剤師がその職能を最大限に発揮する必要がある。今回は、糖尿病腎症における糖尿病治療薬の適正使用について、薬剤師の観点から述べる。
連載「症例クイズ」
知識不足での治療意欲が招いたフレイル
正司守生(金沢赤十字病院)…59P
インフォメーション
日本糖尿病協会 療養グッズのご案内…表2
日本学士院賞受賞 清野進氏
インスリン分泌の作用機序を解明…34P
平成31年度日本糖尿病協会賞 療養指導士賞
候補者募集のお知らせ…37P
「マールくん」LINEスタンプに登場!…43P
糖尿病学習支援DVDシリーズ(全5巻)…44P
医療者向け講習会 2018年度上期開催予定…63P
第7回日本糖尿病療養指導学術集会のご案内…表4
次号予告/編集後記/購読確認票…62P
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