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1型糖尿病のTさんはマラソン大ベテラン!
「マラソンではトイレが大切です」

ダイアモンドヘッドの朝焼け

インスリン注射歴、今年で35年ですが、ハーフマラソンや30キロを中心に大会参加数百回を超え、フルマラソンも20回目くらいになるので、走ることには不安はないものの、海外に出るのが学生のとき以来で、約30年ぶりでした。

同行同室の英語ペラペラの若いイケメン・ドクターのNさんには随分とお世話になりました。ホノルルで合流した美貌のプロミュージシャンSさんのNさん以上のネイティブな英語にも助けられて、マラソン大会前のホノルルを存分に堪能いたしました。思わぬハプニングに出会いながらも、若いお二人とご一緒できて、本当に楽しかったです。

TDJの懇親会後のサンセットクルーズもハワイアンで、とっても盛り上がりましたね、M先生。

さて、本題のマラソン大会。マラソン大会には(特にフルでは)、結構、入念な準備と対策を練ります。練習のときから長時間、走ると赤くなる部分にはテープをしたり、非常時のときの持ち物を予め研究し対応したり。あのイチロー選手も言っている通り、試合(大会)には様々な意味での十分な準備と努力こそが重要です。

さてさて、ホノルルマラソン。ホテルにはスタート近くのPホテルを選択しましたが(M先生たちは買い物には便利なSホテル)、やはりこれが大正解でした。3万人参加の大会では、スタート近くの仮設トイレは長蛇の列だからです。

5時スタートなので、2時頃起きて、近くのスパーで買っておいたオニギリを4個食べたT氏は(超速効は半分量を打ち、寝る前の超持続はいつもと同じ)、既に何度もトイレに行っていましたが、Nさんは大きいほうがまだ十分には出せない様子。結局、4時40分頃まで粘るものの不成功、不十分。しかし、こうした努力が可能であったのも、スタートに近かったおかげでした。

4時頃から雨は一段と強くなっていました。いつもは大きなゴミ用のビニール袋を持参していて、両手と頭を出すための穴を切って、ビニール袋(途中で捨てられるので便利)をかぶるのですが、今回は忘れていました。しかし、部屋にあったランドリー用のビニール袋を使用。スリムなNさんにはぴったりでしたが、やや太目のT氏がかぶると切れてしまい、Nさんにテーピング用テープで留めてもらいました。

ようやく、いざ出陣。23階から降りるエレベーターの中で、「ここまで長かったですね」とNさん、しみじみ。マラソン大会前の出来事(毎朝、公園で旅行代理店から依頼されたトレーナーと練習もしていました)を思い出していたのでしょうね。

豪雨の中、勢い良くスタート地点の集合場所を目指すものの、3万人のランナーと大雨でTDJのメンバーを中々見つけられませんでした(思えば、我々は集合時間にはいつもギリギリでした。ごめんなさい)。マラソン大会だけは経験豊富なT氏は光栄にもM先生の伴走者の任をあずかっている、というのに。

結局、スタート寸前にNさん、TDJを発見。午前5時、仲良く並んでスタートを切れました。雨の中、花火が打ち上げられて、3万人のランナーの中、我々、TDJのランナーもまだ夜明け前の真っ暗なワイキキの街を走り抜けました。激しくなる雨を避けるため、ビルの軒先に逃れるランナーもいましたが、キロ7分くらいのペースで10キロ地点くらいまでは快調そのもの。TBSの撮影クルーズとも遭遇し、走りながら若いタレント・ランナーと並んで記念写真の余裕。「テレビにも映るかも?」とご機嫌のM先生でした。

ダイアモンドヘッドの山が近づくと、大きな火山岩がゴロゴロと散見されて、ハワイは大昔に火山が爆発してできた島であることを再認識。15キロくらいで、1袋116キロカロリーのジェルでエネルギーを補給するM先生、まだまだ行けそうでした。

Nさんは心配の膝を気にして、給水ポイントごとにストレッチをするので、ほぼ等速で走る我々に追いついたり抜かれたり。

ハイウエイに入ると、ランナーもややまばらになり、しかも緩やかな下り坂。M先生の念願の記録達成(5時間を切ること)のためと、ここで少しペースを上げた(キロ6分半くらい)のが、まだ早すぎました。伴走者T氏の判断ミス。すぐに遅れるM先生、ペースを戻すものの、足に疲労がきている様子です。折り返してくるTDJの速いランナーたちに、元気よく大きな声でエールを送り、ハイタッチをするM先生。しかし、徐々にペースダウン。

中間地点で初めてのトイレ休憩をしました。芝生に並べられた仮設トイレの周囲は、断続的に降る雨で、びしょ濡れ、ぐちょぐちょ状態。トイレ(もちろん洋式)の中も、びしょ濡れ、ぐちょぐちょ。便器に腰掛けずに用を足したというM先生(後で聞くと、Nさんも、当然腰掛けないでしょ、との返事。少しでも楽にしたいT氏は座って用を足してしまいました!)。後で考えると、M先生の大腿部の筋肉は、ここで少なからぬダメージを受けてしまったようです。

トイレ休憩から戻り、サービスのオレンジ一つまみを口にして、気合も新たに走り始めるや、しばらくするとM先生、急停止。膝の上がつって足が動かせない、と。伸ばすことも屈めることもできずに、M先生ただ苦痛の表情。しばらく休んでみるも回復せず。足を引きずるようにして歩くも、激痛の表情。M先生、ホノルルマラソン初のリタイアか? 発足したてのTDJにどんな影響が・・・。伴走者T氏の責任重大! やばいなあ。

休んでいても良くならないので、ゆるゆると、だらだらと足を引きずりながら歩くも、またすぐに動けないM先生、途方にくれるT氏。

「困りましたねえ、M先生。どうしましょうか? おんぶでもして行きましょうか? ・・・救急車でも来ればいいんですけどね」

T氏、やや自嘲気味に言うも、

「ハワイで救急車に乗ったら、いくら取られるか、わからないわよ」

M先生、不機嫌光線を発射。

「じゃあ、いっそのこと、パトカーにしますか?」

笑えぬ冗談など言っている場合かT氏。伴走者のいたらなさゆえの事態ではないか。

しかし、どうしようもない。とにかくだましだまし、静々と歩き続ける我々。TDJの看護師Kさんからコールドスプレーを借りて助けられました。

気がまぎれるように、色々なお話もしましたね、M先生。一緒に歩きながら、オアフ島の美しい景色に溶け込むような気分で、ゆったりと時間は過ぎていきました。

途中、3回ほど、TEAM DIABETES CANADA のランナーと出会いました。彼らはTDJのTシャツを見て、

「DB!」

と言って激励してくれます(英語圏ではDMではないようです)。何か、ディー・ビー! のほうがカッコいいみたいですね。

サービス・ブースでコールドスプレーを大腿部にかけることを繰り返しながら、歩きました。やや回復したようでも、少し走り出すと、痛みが出るようです。とにもかくにも、中間地点から歩き続けること約2時間。

38キロあたりで、10キロ・ウォークの部を終えて応援にまわっている、TDJの元アメフト選手というI氏を発見。

「ああ、これで歩けなくなっても、おぶってもらえる」

とM先生、安堵の表情。ひ弱(そう)なT氏ではおぶえぬものと心配だったらしい。

安心感のせいか、急に回復の兆しを見せるM先生。40キロを過ぎたら、パァーと走り出しましょう、と完全復活の笑顔。雨も上がり、眩しい陽射しの中、快ペースでゴールへ走る、M先生とT氏。疲労の色濃いランナーをどんどんと抜き去り、ゴールへ一直線。この二人、いままでどこで休んでいたのだ、という走り。

人で溢れるゴール会場に入ると、青い大きなTDJの旗を手渡される。M先生が片方の端を持ち、T氏がもう片方の端を持つ。我々のスピードに旗はなびく、というよりも巻きついてしまうが、会場のアナウンサーは、

「TEAM DIABETES JAPANが入ってきた! もう少しでゴールです!」

と連呼(もちろん英語で)。大声援を全身に浴びながらのゴールでした。お疲れ様、結局、半分歩いたにもかかわらず、我々は6時間半でゴールできました。

最後に、自戒を込めて、一句。

楽しいホノルルマラソン そんなに急いで 早く終わらせたら もったいないよ 42・195キロ

(ホノルルマラソン初体験記) Y・T