1型糖尿病、若年性糖尿病、小児糖尿病、インスリン依存型糖尿病、I型糖尿病、IDDM、インスリン依存性小児糖尿病などの呼び方はすべて正式名称なのでしょうか?
【A】正式な名称は「1型糖尿病」です。
若年性糖尿病、小児糖尿病: 以前は1型糖尿病と同義の様に使われましたが、若年や小児にも2型糖尿病がかなり認められる(1型糖尿病と同数程度という説もあります)こと、1型糖尿病が中年以降にも生じ得ること、などから学会の正式な糖尿病の分類では使われなくなりました。
インスリン依存型糖尿病:インスリン依存というのは、インスリン注射をしなければ生命を保てない状態を指します。1型糖尿病であっても発病初期や特殊な症例(緩徐進行型)なども場合にはインスリン依存状態を呈さない場合があります。逆に、2型糖尿病であっても、個々の患者さんの状態によっては、インスリンを注射しないと救命できない場合があり得ます。
このため、インスリン依存型糖尿病・インスリン非依存型糖尿病という分類は正式には使われなくなりました。現在では患者さんのその時点での病態を評価して、インスリン依存状態、あるいはインスリン非依存状態という呼び方がされます。
【Q】「高血糖症」や「インスリン依存症」などの病名を耳にしますが、これらも正式名称なのでしょうか?
【A】医学的には正式な名称ではありません。
糖尿病という病名が漠然としていて不適切であるという趣旨で、あえてこの様な呼び方をされる場合があります。しかし、国内・海外を通じて、正式な呼び名は糖尿病 (DIABETES MELLITUS)です。
糖尿病という言葉にはたしかに誤解を招きやすい響きがあるのですが、糖尿病という病名には紀元前からの歴史があり、多彩な病態や合併症までを含めて総合的な症候群として捉えられています。この様な点で糖尿病という呼び名に取って代われる適切な呼び方を探すことは困難でしょう。
もちろん上記の「高血糖症」や「インスリン依存症」という呼び方も、糖尿病のごく一面しか表現できていません。
【Q】IDDM、NIDDMという言葉はなくなったのでしょうか。
知人から糖尿病って、今はIDDMとか言わなくなったとききました。本で読むと最近は、インスリン依存型という言い方はしないらしいですね。だからIDDMとも言わない方がいいのでしょうか。友人がそのIDDM、1型なので、ついIDDMと言ってしまうのですが、DMの方も多く参加するイベントのボランティアもやってるので正しい事が知りたいなあと思います。
【A】学術用語としては、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)という言い方はしなくなりました。
糖尿病をその病因(糖尿病に陥った原因)で分ける分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、表現しやすいと考えられる様になったからです。
病因による分類:
糖尿病の状態の表現:
従来の表現でうまく分類できなかった例に、1型糖尿病であっても、内因性インスリン分泌能が完全に廃絶していない段階で、インスリン非依存状態を呈するケースなどがあげられます。
しかし、IDDM、NIDDMと言う言い方は一般的な用語として極めて広く使われていますので、学術論文や学会以外の場にまでこの議論を持ち出して、IDDM、NIDDMという言葉を廃止することは難しいのではないかと感じています。
糖尿病の分類について教えてください。NIDDM(インスリン非依存型糖尿病)、IDDM(インスリン依存型糖尿病)とはどういう状態ですか。
【A】NIDDM = Non-Insulin Dependent Diabetes Mellitus(インスリン非依存型糖尿病) これに対して IDDM があります。 IDDM = Insulin Dependent Diabetes Mellitus(インスリン依存型糖尿病) これらの用語は最近の学会の定義では、正式な名称としては使われなくなりましたが、大雑把にいうとNIDDMは2型糖尿病に相当し、IDDMは1型糖尿病に相当するものです。
一般に糖尿病は1型糖尿病対2型糖尿病、 あるいはインスリン依存型糖尿病対インスリン非依存型糖尿病という分類がなされてきました。 インスリン依存型とは、体内のインスリン産生能が皆無に近いため、 体外から補充しないと生存できない事を意味しています。 これに対し、体内にあるインスリン(内因性インスリン)だけでも生存可能な糖尿病を インスリン非依存型糖尿病と呼びます。
古典的には1型糖尿病=インスリン依存型、2型糖尿病=インスリン非依存型、 と考えられてきましたが、近年この考え方は改められつつあります。 インスリン依存・非依存は患者さんの現在の状態を表し、1型・2型の分類は糖尿病の病因を表す分類と考えて下さい。
1型は膵臓のランゲルハンス島が激しい炎症をおこした結果 インスリン分泌能が著しく低下ないし枯渇してしまうもの、 2型はそれ以外の原因でインスリンの作用不足が現れて高血糖になるものです。 これらに加えて、糖尿病の原因遺伝子が同定されるなどによって、原因が特定されたケースは、その他の特定の原因による糖尿病という形で、別に分類されます。
【A】ランゲルハンス島の炎症は若年者や子供でも起こり得るため、 若年で発症する糖尿病の中で1型糖尿病は大きなウエイトを占めてきました。このため1型糖尿病を若年性糖尿病と呼んだ時期があります。
しかし、ランゲルハンス島の炎症が年齢にかかわらず高齢でも起こりえること、若年者の糖尿病の中にも2型糖尿病がかなり多く混ざっていること などから、若年性糖尿病という言い方は使われなくなってきました。
同様の理由で、小児糖尿病も1型糖尿病と同じ意味には使われません。しかし、子供の糖尿病には、その成長過程を考慮して様々な注意が必要であることなど、大人の糖尿病と違った側面があることは紛れもない事実ですので、「小児糖尿病」と言うカテゴリーは現在でも重要な意味をもっています。
【Q】境界型糖尿病、耐糖能障害、糖尿病予備軍について教えてください。
【A】一般に糖尿病の予備軍とか境界型などと言われるグループがあります。 これは、血糖値が正常範囲を越えているが、 糖尿病の診断基準に当てはまるほどには上昇していないグループを指し、 正式な呼び名は、日本糖尿病学会基準では境界型糖尿病、WHO基準では耐糖能障害や空腹時高血糖といいます。
一般的には2型糖尿病ないしインスリン非依存型糖尿病の軽症型と理解して差し支えないでしょう。血糖の上昇はあっても軽度で、合併症も進展しにくく、薬剤などによる治療は必要ありません。しかし、生まれつきの体質(遺伝的素因)としては2型糖尿病と同類と考えられ、 数年間の観察中に顕性の糖尿病に移行することが多いので、 基本的には糖尿病と同様の注意や摂生が必要です。
また、俗に言う糖尿病予備軍には、このような境界型や耐糖能障害にも至っていないが、遺伝的素因や生活習慣として糖尿病の危険因子を持っている方も含めて言うことが多いようです。
【Q】インスリン注射をしている患者さんはインスリン依存状態なのでしょうか 。
【A】ちがいます。日本でインスリン治療を受けている患者さんの多くは、 インスリン療法を受けなくても生存は可能だが 食事療法や経口糖尿病薬で良好なコントロールが達成できないために インスリン療法を受けることになったもので、 この様な方は、インスリン依存の定義には含まれません。 インスリン注射をしている患者さんすべてがインスリン依存状態(1型糖尿病、インスリン依存型糖尿病)とは限らないのです。
【Q】1型糖尿病でランゲルハンス島が傷害されるのはどうしてですか。
【A】1型糖尿病においてランゲルハンス島が炎症をおこす原因は、 多くの場合自己免疫のメカニズムです。 体内に侵入した病原体を攻撃して排除する働きを免疫と言いますが、 この免疫の作用が誤動作をおこして自らの体の組織を攻撃してしまう現象が自己免疫です。 つまり、ランゲルハンス島が体外から侵入してきた病原体と誤認されて攻撃をうけるわけです。
【A】1型糖尿病の場合、最終的にはランゲルハンス島の機能が廃絶してしまい、 インスリンを補充しなくては生存できないインスリン依存型糖尿病になります。 しかし、しっかり治療を行うと、ランゲルハンス島の機能が一時的に持ちなおして 緩解期を迎える例もあります。 さらに、1型糖尿病であってもランゲルハンス島の傷害が比較的緩やかに進み、 長期間にわたってインスリン分泌能を維持するケースもあることがわかってきました。 これらの様なケースでは、インスリン補充療法を受けななくても血糖がコントロールでき、 インスリン非依存型の病像を呈する事がありますが、 やはり最終的にはインスリン依存型へと移行していきます。
【Q】2型糖尿病でインスリン作用が不足になる原因を教えてください。
【A】2型糖尿病は日本人の糖尿病の大部分を占める病型です。2型糖尿病は1型糖尿病に比べ食べ過ぎや運動不足など生活習慣や加齢の関与が大きく、中年以降の比較的高齢の肥満者に発症しやすいタイプです。最近では「インスリン抵抗性」というメカニズムも注目されています。2型糖尿病では、一般的にはインスリン非依存状態の病像を呈し、食事療法と運動療法が治療の基本となります。食事療法、運動療法でうまくコントロールできない場合には 第二段階としてスルフォニル尿素(SU)剤などによる薬物療法が行われ、 それでもコントロールが難しい場合にはインスリン療法が行われることもあります。 また、2型糖尿病であっても、重篤な感染症や糖尿病性ケトアシドーシスなど、 生命を守るためにインスリン療法が不可欠な状態に陥ることもあります。
【Q】2型糖尿病の原因の説明は漠然としていてよくわかりません。どうしてですか。
【A】1型糖尿病の病態やその発症過程はかなりのレベルまで解明が進んでいるのに比し、 2型糖尿病の方はまだまだ分からないことが多く残っています。それには以下のような理由があります。 1型糖尿病はもともと病像がはっきりしている均一に近いグループですが、 2型はそれ以外のものを寄せ集めてひとくくりにしたものといえます。 1型糖尿病は発症時期が明確に特定できる事が多く、病気の進行経過を把握しやすいのに対して、2型糖尿病はいつの間にか発症していて、発見時にはすでにかなり進行していたりと、 病気の経過を把握することさえ容易ではないのです。
【Q】テレビでペットボトル症候群という言葉を聞きました。どのようなものなのか教えてください。
【A】もともと糖尿病と診断されていなかった人が、糖分を含む清涼飲料水を大量に飲んだために、血糖値が上昇し、糖尿病を発病するケースの事です。
血糖値が上昇し始めると、ますますのどが渇く、だからますます飲む、するとますます血糖値が上昇するため、飲めば飲むほどのどが渇くという悪循環に陥ることが多く、口渇、多飲、多尿、体重減少といった、糖尿病の典型的な急性症状を伴って、かなり急激に糖尿病を発症する場合が多いです。もちろん、夏場に多いですが、冬に発症した患者さんもいました。
最近、出会った患者さんでは、次のような方が印象に残っています。
「お茶より体によい」と思ってスポーツ飲料を多飲していたら、実は糖分が多量に含まれていたために、血糖値が上昇してしまった20前の男子大学生
「砂糖不使用の野菜ジュース」をこれも体によいと思って飲んでいたら、ハチミツが添加されていたために、血糖値が上昇した20代の女性
飲物の成分にはよく気を付けましょう。
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